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官房室、環境省改革を始動=環境基準に柔軟性=エネルギー確保は最優先事項=「なますは吹かない」

2007年4月28日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】官房室は二十六日、水力発電所などの建設許可基準を制定した環境審議会(CONAMA)決議二三七/九七号の見直しを行い、環境省改革を始動させた。同決議の見直しにより、ロンドニア州マデイラ河流域開発が合法的に許可される基準に融通性を持たせ、戦略的理由や例外などの項を設ける方法を検討している。マデイラ河に二〇〇億レアルを投じて建設するジラウ発電所とサントアントニオ発電所は、経済活性化計画(PAC)の要と見られている。
 ルーラ大統領が、同発電所建設に抗議する環境団体に対し、問題は生態系ではなくブラジルの経済発展を阻害する法律だと述べ、理解を求めた。戦略的施設の建設が短期間に許可される環境規制改革は、ロウセフ官房長官の音頭で始まった。これまで建設許可の妨げとなっていた環境省高官らは、更迭された。
 環境審議会(CONAMA)の決議変更は最終的に同審議会の承認を要するが、一、二語加えるだけで許可書は容易に発行されるはずだとみている。CONAMA決議は一九九五年、カルドーゾ政権で制定されたものだ。
 大統領はチリのラ・モネダ宮で、ラテンアメリカ各国に天然ガスやバイオ燃料による発電計画を推奨したばかりである。帰国早々、環境省高官の抵抗にあって不快感を募らせた。問題は生態系ではなく、法整備だと反論した。環境政策が法の管理下にあることを議会は承知という。
 大統領はラテンアメリカ各国が些細なことを理由に大事なエネルギー問題で頭打ちしていると警告した。豊かなエネルギーがあれば、豊かなチャンスがやってくる。エネルギーは全ての悩みを癒す。エネルギーは問題解決だけの手段ではなく、国家の士気を高揚させると訴えた。
 第一次政権で満足すべき経済成長率を達成できなかったのは、エネルギー政策の怠慢であった。第二次政権は、エネルギー確保を最優先事項として全てを賭けるという。PACの一環としてエネルギーの管理基準を抜本的に見直すことを、議会へ上程した。
 ブラジルは一九八〇年、アマゾナス州ウアトゥマン河に杜撰な調査に基づきバウビナ発電所を建設し、苦い経験を味わったことがある。だからといって、あつものにこりてナマスを吹くようなことはしない。
 ロンドー鉱動相からマデイラ河の発電所建設許可を五月末までに発行せよと圧力を掛けられたシウヴァ環境相は、期限厳守の義務はないと反発した。自然環境保護院(IBAMA)が最後通牒を突きつけられたことでロンドニア州検察庁は、同時期は大ナマズなどの魚が産卵期のため、川底の沈殿物が必要だという。
 エネルギー確保による経済発展かナマズかの論争は、IBAMAの構造改革を引き起こした。環境専門家は、構造改革が事実上のIBAMA解体だという。エネルギーかナマズかは、永遠の課題らしい。
 アマゾン河流域開発を実施するには一方的な法の執行ではなく、生態系を維持する中での流域開発を行う必要がある。政府は経済発展と環境保全が共存する計画を立案するべきだと環境専門家は願っている。