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衰え見せない輸入増加=1千億ドル突破の勢い

2007年4月28日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】輸入の増加は衰えることを知らず、今年は史上初となる一〇〇〇億ドルを上回る勢いを見せている。ルーラ政権が誕生した二〇〇三年が四八三億ドルだったことから、倍以上の増加となっている。
 国際通商協会(AEB)は昨年の輸入が九一四億ドルだったことから、今年はその一一・五%増を予想し、一〇二〇億ドルとして初の一〇〇〇億ドル台を見積もった。しかし、今年に入っての四カ月間の動向を分析結果、昨年対比二四%増となったことから一一〇〇億ドルに上方修正する意向を示している。
 輸入は中国製品の安値攻勢に引きずられた形で、ドル安の後押しで、国内生産を止めて輸入品をメーカーが自社販売ルートに乗せるのがブームとなった。国内メーカーとしてはコスト的に太刀打ちできないことから背に腹は代えられない事情が根底にある。
 これに加えて輸出企業のドローバック制度による輸入が急増したのも大きな原因となっている。この制度は古くに設けられた輸出奨励策の一つで、輸出した製品に使用した原材料や部品を免税で輸入できるシステム。昨年の製品輸出は前年(二〇〇五年)対比一四・七%増にとどまったにもかかわらず、ドローバック方式での輸入は二六%増に上った。
 輸入が花盛りになった証拠に今年の年頭二カ月間で、輸入業務を行った会社は一万五八〇〇社に昇り、昨年同期より一五〇〇社上回った。反面、輸出業者は一万二〇〇社で、一一九社増にとどまった。
 輸入が目立つのは家電、電子製品、建材、衣料、靴などで、これら単品はほとんどが中国製で、国産品とは四〇%の値差のものもある。
 SUGGARのプランドで知られる家電メーカーのマジソン社は二〇〇六年中頃から中国製品の輸入に切り換え、今では四〇品目のうち国産しているのは六品目のみで、売上げが四五%伸長した。
 また、アイロンメーカーは国産品四〇万台を中国製に代替えした。このため工場の閉鎖も視野に入れており、六五〇人の従業員の失業が表面化している。自動車用のベアリングメーカーのチンケン社は年内で工場閉鎖を決定している。同社では年間二〇〇〇万個を製造、四〇%を国内で販売していたが、これをアメリカ、ヨーロッパ、アジアの同グループからの輸入販売に切り換える。従業員二七〇人が整理される。
 二〇〇六年度のブラジルへの供給国はアメリカがトップで全体の一六%、次いで順にアルゼンチン(八・六二%)、中国(八・三九%)ドイツ(七・四一%)、日本(四・五五%)となっている。〇二年から〇六年の間、中国が二〇四%増と伸長したのみで、ほかは一様にマイナスとなっている。アメリカは三二%減、アルゼンチンは二二%減、ドイツと日本はともに一九%減となっている。