2007年4月27日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日】最高裁本法廷は二十五日、下院の航空管制CPI(議会調査委員会)の設置是非を審理した結果、満場一致で即時設置と裁決した。同CPIは、議会で過半数を占める連立与党が設置を強引に阻止していた。最高裁は、与党の議会工作が少数派の意見をないがしろにするものであると判断した。最高裁決定で同CPIは、第二次ルーラ政権にとって最初の試練となりそうだ。上院では、同目的で別のCPIを設置した。サンチアゴ訪問中のルーラ大統領は、最高裁決定にとやかく言う考えはないと言明した。
連立与党が下院の航空管制CPIを葬るため強引に推し進めた議会工作は、最高裁で覆った。一五四人の犠牲者を出したGOL航空旅客機と小型機の接触事故は、全ての国民が知るところだ。真実が解明されないままの同事故の政治的決着は不合理であるという最高裁の見解である。
キナリア下院議長は、同CPIの即時設置を余儀なくされた。最高裁本法廷には野党議員のほとんどが詰めかけて傍聴した。上程者セウソ・メーロ判事は、CPIの設置では数的に不利な少数派が多数派を納得させる必要はないと論証。審理対象となっている航空管制の不備は、議論を要しない明白な事実だという。
下院で行われた議会工作は、少数派の意見尊重を求めた連邦令の明らかな違反であり、法令無視だと最高裁は判断した。少数派から下院執行部へ提出されたCPI設置上程案には、ボーイングとレガシーによる航空機事故の真相解明が明記されているのに、だ。
最高裁のメンデス次官は、同判決は少数派の申請が受理された判例として後世に残るものだと述べた。同CPIは国民衆視のもとに一挙一動が審議され、これまでの小細工は許されなくなりそうだ。連邦令は右目で右頁を読み、左の目で左の頁を読むようなことはできないと、アウレリオ・メーロ判事がいう。
チリに滞在中の大統領は最高裁決定を聞き、握り潰すという考え方を戒めた。議会は小手先で運営するものではないという。最高裁は法治国家のあり方について独自の見識がある。結果の良否にかかわらず従うのが民主政治であると大統領は語った。大統領が心配するのはCPIではなく、経済活性化計画(PAC)だと述べた。
上院では二十五日、航空管制CPI設置の最高裁決定が出る少し前に、スンナリとCPIが設置された。CPI委員の決定は、与野党とも二十日間の期限で五月中頃となった。マガリャンエス上議(民主党=DEM)が、同CPIは誰かを刑務所に入れる恐怖のCPIではなく、いつ旅客機が衝突するか分からない恐怖を除くCPIであると述べた。
上下両院で中味が違うといっても、同名CPIの同時進行は前代未聞である。どっちが充実し、どっちがあいまいなCPIかを比較されるのは、議会の信用失墜という。海千山千の下院と違って、上院は紳士が多い。上院CPIには、宗教裁判のような空気はない。またCPI設置の前日、マガリャンエス上議とジェレイサッチ上議がルーラ大統領のご馳走に預かったのも、党内で評判が悪い。