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「エタノール生産伸ばせる」――ゲーデス氏、会議所で講演――ブラジル農業の潜在能力

2007年4月22日付け

 ブラジル日本商工会議所は十三日、四月定例昼食会を開催、席上、ルイス・カルロス・ゲーデス・ピント前農務大臣が「農業とブラジルにおけるアグリエネルギー」と題した講演を行った。
 ゲーデス氏は、ブラジルの代表として、さきごろ日本、インドネシア、シンガポールなどを訪問、第十二回日伯経済合同会議でもプレゼンテーションを行った。同氏は講演に先立ち、「私は、大学を卒業して以来、四十五年間農業に関わってきたが、日本人の農業への貢献はすばらしく、その活躍は誰もが認めるところ」と、移民への感謝を示した。
 続いて、アグリビジネスの概要を説明するとして、「アグリビジネスは全伯の三六から三七%の雇用を農業が担っている。GDPの約二七%、輸出の三七%相当を占め、非常に重要な分野だ」と位置付けた。
 ブラジルでは、ここ十五年間で農業生産性が大幅に上昇。穀類では作付け面積が十五年前に比べて二割増えたのに対し、生産量は一千万トンから一億三百万トンへと、飛躍的に増加している。新規技術を取り入れ、輸出もここ四年間で倍近く伸びた。
 「ブラジルは世界で唯一新規に農業が拡大できる国。木を一本も切ることなく、八千万から一億ヘクタールの土地を(農地として)広げられる」と、ゲーデス氏は力を込める。現在、ブラジルには六千二百万ヘクタールの農地があるが、そのうち四千七百万ヘクタールが大豆、とうもろこし、千五百万ヘクタールがコーヒーや小麦に当てられている。
 同氏は「バイオエネルギーでも、ブラジルは無限の可能性がある」。ブラジルで生産される四億二千万トンのさとうきびのうち、アルコールに当てられているのはだいたい半分だ。三十年間のエタノール研究、活用経験から「アルコールは現状の数倍に伸ばせる」という。
 日本でエタノールの導入が検討されていることを例にあげ、「世界でアルコール車が増えればと思う。ブラジルはアフリカや東南アジアへの技術移転をしている。日本の資本力とブラジルの技術力をつなげ、エタノールを世界中で生産しよう」と呼びかけた。
 また、ゲーデス氏は「ブラジルは農業政策をより能動的に行うべきだ」と指摘。OECD(経済協力開発機構)の調査によれば、ブラジルの農家所得に対する政府投資額は三%で、世界で二番目に低い。同数値は、ヨーロッパは三四%で、日本は五八%だ。
 「農業へ助成をしないのであれば、保険制度を整えて、農家を安心させるべき。農家を支援し、生産者、バイヤー、工業生産者を均等にして、緊張の続かない関係を築きたい」。
 ゲーデス氏は、「農務省は、三十の各種農業協議会の活動の合理化を目指してサポートし、他分野でも農産物の付加価値向上に努める。ブラジルの農業の潜在能力は高く、今後も見込めるだろう」と講演を締めくくった。