ホーム | 日系社会ニュース | 1年半で生徒数6倍に=スザノ日伯学園=盛大に新校舎落成式=非日系も日語に積極的=「来年も増築必要かも」

1年半で生徒数6倍に=スザノ日伯学園=盛大に新校舎落成式=非日系も日語に積極的=「来年も増築必要かも」

2007年4月22日付け

 「♪僕らはみんな生きている~」。日本かと見まごう元気な歌声が校舎に響く。二十日午後五時から、汎スザノ文化体育農事協会(ASEAS)が運営するスザノ日伯学園(Centro Educacional Nipo-Brasileiro de Suzano)の新校舎落成式が行われ、父兄や生徒、来賓ら約二百人が列席する中、学習成果披露の一環として日本語の歌の合唱も行われた。日系団体の生き残り策であり、プレ百周年記念事業として打ち出された日本文化重視の学校運営だが、現在まで予想以上の好評を博し、安楽恵子校長は「この調子では来年また増築する必要があるかもしれません」と嬉しい悲鳴をあげている。
 全生徒の四一%が非日系だが、森和弘会長は「九五%が日本語を学習している」と誇らしげに語る。同校は午前中にブラジル教程を習い、午後から日本語や日本文化、コンピュータ、各種スポーツなどを習う地域の一般校だ。
 昨年一月の開校当初はわずか四十人だったが、現在は二百二十人と六倍近い増加となった。現在の十一教室では足りなくなり、スダメリス銀行から七万レアルの支援をうけ、新たに新校舎(五教室)を落成した。
 式では、まず子どもたちがブラジル国歌、君が代、スザノ市歌を大声で歌いあげ、森会長は「とても感動した。子供たちが元気にこれらを歌うのを聞いただけでも学校を作ったかいがあった」と賞賛。
 続いて、「ブラジルにもっとも必要とされているのが質の高い教育。立派なブラジル人を育てたい」とあいさつした。
 同銀行を代表してナガミネ・マリオさんが出席し、「ここから立派な市民が育つことでしょう。このようなプロジェクトに参加できて嬉しい」と語った。
 安楽校長はまず、たくさんの協力者に感謝を捧げた。毎日の昼食は同協会婦人部有志がボランティアで作っており、日本食もある。さらに校長が、同校水泳チームが準優勝を飾った報告をすると大きな歓声が沸いた。同日行われた市内十五校が参加した大会で、初参加にも関わらず団体準優勝となった。
 同チームを引率した安里ゆりか体育教師は、ニッケイ新聞の取材に対し「来年は一番とれるようにがんばる」と微笑んだ。
 市内にプールのある学校は他に二校しかないが、同協会はテニス、サッカー場、体育館など充実した設備を誇る。さらにパソコン、英語、日語など朝七時半から夕方五時まで安心して生徒を預けておけると親に喜ばれているという。
 日語授業は、本人の希望にあわせて週五日間二時間ずつまで時間を選べる。教師四人に加え、六月からJICA青年ボランティアも来る予定。
 相談役の武吉七郎さんによれば、学校の隣地千六百平米も二月に入手する契約したばかり。「役員が入れ替わっても安定した学校運営ができるように、将来は学校を独立法人化させる意見もある」という。
 当日は田辺豊太郎、田中洋典両元会長らもサンパウロ市から出席した。