ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | サンパウロ市=ビンゴ店58カ所を閉鎖=連邦裁が仮判決破棄=資金洗浄の場と検察庁=賭博か、娯楽か

サンパウロ市=ビンゴ店58カ所を閉鎖=連邦裁が仮判決破棄=資金洗浄の場と検察庁=賭博か、娯楽か

2007年4月21日付け

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十日】連邦警察の賭博マフィア摘発に続きサンパウロ市警は十九日、連邦裁判所サンパウロ州支部の処分に基づき、主なビンゴ店五十八カ所を閉鎖した。同支部は検察庁と連邦総弁護庁(AGU)の要請で、ビンゴ営業を許可していた仮判決を破棄、全国に散在する全ての仮判決を無効とした。ビンゴ業者は「ビンゴは賭博ではなく、娯楽である」と一斉に、ブラジリア高等裁判所へ異議申し立てを行う構えをみせている。サンパウロ州保安局は残りの全てのビンゴ店に対し、営業許可の有無を点検するよう指示した。
 リオデジャネイロ州の高裁判事や弁護士、賭博業者の一斉逮捕に始まったハリケーン作戦は、関係者を動揺させた。やがて全国規模の手入れがあることは予想された。ギャンブル業界への対応が甘かったこともあるらしい。サンパウロ市内だけで一六〇カ所が未許可で営業をしている。
 連邦裁サンパウロ州支部のビンゴ営業許可は二〇〇三年三月二十六日、破棄処分となっていた。それが何故いま、閉業の強制執行なのか。処分はビンゴのみに留まらず、ビデオビンゴ、スロットマシン、パチンコのようなギャンブル類似機器となっている。
 検察庁は、ビンゴが違法資金の洗浄手段になっているとみている。大手のビンゴでは大量の資金が動く。スロットマシンは、ほとんどが密輸ルートで部品を運び込み国内で組み立てる。これらの機器は、最終的に全額損をするように設計され時間を楽しむだけなので、経済犯罪とみなされる。
 ジッコ法やペレー法などスポーツ振興のギャンブル法が制定されたが、二〇〇〇年に同法の趣旨が認められず無効となった。連警は容疑者全員の銀行口座を凍結し、親族や遠縁の銀行口座まで凍結した。
 一方、ビンゴ協会(Abrabin)は賭け金の手数料一〇%で営業するので、丸損や丸儲けのカジノとは異なると抗弁。この手数料で税金や従業員の給料を払うので、ジョッキー・クラブや連邦貯蓄銀行と同じ合法企業だという。
 宝くじやスポーツ・トトと同じで、賭け金は手数料を差し引いた後、残額はすべて賭けた人へ返還される。裁判所は賭博と娯楽の相違が分からないので、十把一絡げにしたというのだ。
 ビンゴは社会事業だという。市中は物騒だが、ビンゴの中は安全そのもの。午後は高齢者の娯楽場であり、夜は若者の社交場である。ビンゴは社会現象であり、新しい価値を生み出す社会文化だという。
 法律によれば、勝負は運によって決まるべきだという。初めから負けることが分かっているものは、違法だとする。ルーラ大統領は二〇〇四年にビンゴを禁じる暫定法を制定したが、上院で却下された。その後、州財政を助ける数々のギャンブル法が公布されたが、最高裁が連邦令の趣旨に反すると却下した。
 ビンゴを違法活動に悪用するのは良くないが、一部ビンゴのために全部閉鎖は中世的感覚ではないか。賭け金の手数料で経営し、地域振興や福祉事業を助ける競輪や競馬、競艇は世界中に多い。結論からいうなら、当局も業者も賭博と娯楽の法的解釈を分かっていないといえそうだ。