2007年4月20日付け
移民が来なくなってからも、その存在はかなり広く知られていた。各県にあった移住留守家族会である。そしてその連合会。連合会の会長には有力国会議員を戴いていた。今、会員の高齢化にともない、会員数が減少、活動がなく、解散が相次いでいるという。案外、読者の家族が会員であった家族会はもうないかもしれない▼いい意味で〃圧力団体的〃なところがあった。国から補助金を得、移住者の肉親が「慰問」にやって来た。名目は移住の事後サービスであったが、サービスが必要でなくても、(一部の)肉親たちは会いに来ることができた。初期移民の訪日団も随分世話になったはずだ▼会員が高齢化したのと、国の予算が窮屈になったのは、時期がほぼ一致しており、初期移民たちの訪日希望者がまだいたにもかかわらず、「招待」はなくなった。解散が相次ぐ家族会のなかに、国際交流団体として発展的に脱皮をはかっているところもあるという。会員資格を広げ、地域の国際化に貢献しようというねらいがあるものと思われる▼そこで、こんなことはできまいか、と考えたのがデカセギとの〃付き合い〃だ。もし、デカセギが家族会(旧家族会というべきか)のある地域で、なんらかの事情で相談に来たら、乗ってあげる。そんな活動だ。出稼ぎが増え出した九〇年代初め、日本におけるデカセギの親戚たちは、訪日者との接触を避けたものだ、と世間話にきいたことがある。現在も同様なのか。まして他人には関心はないか。(神)