2007年4月17日付け
国際協力機構(JICA)の緒方貞子理事長が十七日から二十七日まで、米国およびブラジル、パラグアイの南米二カ国を訪問する。JICA理事長としてブラジルを訪れるのは初めてのことだ。日本移民百周年を一年後に控えた時期の来伯。さらに、独立行政法人改革にともなう海外移住事業の見直しも取りざたされている時だけに、その成果が注目される。
緒方理事長は国連日本政府代表部公使、国連難民高等弁務官などを務めたのち、二〇〇三年、国際協力事業団の独立行政法人国際協力機構への移行にともない理事長に就任した。今回が就任後初めてのブラジル訪問となる。
十七日からの米国訪問では世界銀行のウォルフウィッツ総裁、米国国際開発庁のトバイアス長官、国連関係者などと意見交換。
ブラジルには二十二日から二十五日まで滞在する。ブラジリアでは政府要人との会談をはじめ、国際機関の関係者との意見交換などを予定。二国間の技術協力や今後の日伯両国関係などについて話し合われる見通しだ。現在、ルーラ大統領はじめ、セルソ・アモリン外相など閣僚との会談について調整しているという。
サンパウロ訪問は二十二日。同日夜には、市内で日系団体関係者との懇談を予定している。
政府の行政改革推進本部では昨年十二月、独立行政法人の業務に関する見直し案を決定。JICA事業についても、経費縮減・業務の効率化や、青年招へい事業、研修員受入事業の見直しなどの項目のほか、「海外移住事業の見直し」として、「日本語教師研修事業の廃止を含めた抜本的な見直し」、「農業に関する調査統計事業の段階的廃止」、「営農普及事業の段階的廃止」などが挙げられている。日系団体関係者との懇談ではこうした件についても話題に上るものと見られる。
前身の海外移住事業団創設以来続いてきた移住者支援事業も、移住事業の終了、独立行政法人への移行とともに年々縮小傾向にある。今回の理事長来伯がその傾向にどのような影響を及ぼすか、注目される。
緒方理事長は二十五日からパラグアイを訪問。政府関係者との会談のほか、移住地訪問や同国内で実施されている技術協力プロジェクト、青年海外協力隊員の活動視察などを行ない帰国する。