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航空管制は空軍指揮下に=空軍総司令官が表明=国防相の見解に反する=管制システムは完璧

2007年4月13日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】サイトウ空軍総司令官は十一日、航空管制を空軍の指揮下に置く意向を、下院監督委員会で表明した。現行の航空管制システムは完ぺきで、近代的であることを自負しているという。ピーレス国防相の、管制業務を民間機関に委ねる見解と矛盾した。同相は航空管制の民間委譲が世界的傾向であるというのだ。空港の混乱は、空港管理と航空管制の責任者間における連携不在が引き起こしたトラブルであると民間航空庁(Anac)が説明した。コスタ下議は、悪夢から覚めたと皮肉った。
 サイトウ総司令官とピーレス国防相を迎えた下院の監督管理委員会は、七時間にわたって質疑応答を繰り広げた。ブラジルの空を飛ぶ軍用機と民間航空機は、その管制を空軍の指揮下に置くべきであると総司令官が述べた。同委員会の席上で国防相は、民間航空機の航空管制を軍の指揮下から外すことを表明した。
 国防相はさらに、民間航空機の発着管制トラブルを空軍の管理責任下から外すべきだと述べた。検討期限は設定しないが、民間航空の管制システムを空軍管理から引き離すことを政府は検討するらしい。
 サイトウ総司令官の見解は、明快で断定的なものだ。航空管制センターの設備は、建物も含めてレーダーや機器全て空軍の所有である。ブラジルの制空権管理も空軍の役目であることは自明の理といえる。そこに民間航空が同居したのは、間借りなのか軍用の一部代行か。
 ブラジルの航空管制システムは、空軍の組織や指揮系統も含めて世界に類のない完ぺきなものという。簡単に航空管制を民間機関へ委譲というが、システムの内容を知らない素人考えだと批判した。
 総司令官によれば、ブラジルの航空管制システムは世界でも最高クラスのものらしいのだ。軍用機と民間機を区別するだけの機器モデルの問題ではない。民間機関へ管制委譲とは、全く別の航空管制システムを設置することだという。
 航空管制システムは、世界的傾向では片付けられない問題といえそうだ。さらにサイトウ総司令官は、連邦令に沿った空軍の義務遂行であると強調した。政府や国防相が検討している管制業務の分離は、空軍の綱領とは相容れないと糾弾した。
 空軍の立場として業務の分離に賛成も反対もしない。航空管制の分離は国運に関わることなので、下院も含めて政府の連帯責任のもとで決定して欲しいと訴えた。さらに今回のトラブル解消は民間航空の要求に応じたもので、空軍の要求ではないことを肝に銘じておくよう爆弾を投じた。
 国防相は、空港トラブルが自分の責任ではないことの弁解で終始した。国防相の権限は航空管制に及ばず、空港トラブルは空軍の指揮下にあるという。管制官との交渉など、国防相はできる限りのことをしたと弁明した。
 下院管理委員会は、航空管制トラブルではなく責任者間トラブルだと面食らったようだ。政府代表は問題の本質が分からないという。国防相と総司令官は、発端がGOL航空の惨事だとし、Anacは、結論として何もトラブルはなかった、あったのは連携不十分だったとした。