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コラム 樹海

2007年4月12日付け

 移民史料館が六月に、数年ぶりの特別展を開催する。移民七十周年の中心事業として建設された同館が、百年祭を前に活性化するのは心強い。史料館はただ展示するだけでなく、調査部門部も設け、研究者を育成していく目的も創立当初からあった。先日打ち出された「百周年記念誌」という移民の記録を残す事業に、史料館が中心となって関わっていくことは原点回帰に他ならない▼百周年後に史料館をどういう形で活かしていくか、日系社会の歴史を残す仕組みをどう作るか、はとても重要な問題だ。周年事業は建てたらお終いではない。建ててから始まるのだと肝に銘じたい▼「日語史料の掘り起こしはこれが最後の機会になるだろう」。JICAシニアとして史料館に派遣され、特別展に尽力する小笠原公衛さんはそう語る。今こそ、一世が残した写真や日記、各種文書などを史料館に集める時だ▼今どれだけ充実した史料を収集でき、データベースに加工できるかで、いずれ生まれるポ語百周年記念誌の出来にも大きく関係する。ポ語版では、後継世代に語り伝えるべき豊富な内容を盛り込んでいく必要があるだろう。日本語とポ語の両輪がそろってこそ、百周年後に生きるモノとなる▼文協選挙もそうだが、一世と二世の考え方や常識の相違は、敵対するための材料でなく、相補うためのものだと思いたい。今こそ違いを超え、大同団結すべき時ではないか。前回の文協選挙では大きなシコリを残したが、今回は一体化した姿に回帰する良い機会だ▼史料館特別展は「一九〇六年」。笠戸丸以前の〃神代の時代〃であり、これもまた原点回帰だ。(深)