2007年4月11日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】住居占拠運動のメンバーらは、政府の住宅政策に抗議するため、少なくとも全国十州で一斉蜂起することを決定した。全国で五つの団体がこれまで個別に運動を進めてきたが、統一行動をとるのは初めてのことで、農地占拠運動(MST)の抗議集会に歩調を合わせることになった。
MSTは「赤い四月」と称して例年四月に一大集会を実施している。中でも中心的役割の国家大衆住宅促進団体は十七州で一五〇カ所の公共および個人所有のビルを不法占拠するために一〇万人を動員する意向を示している。サンパウロ市内では十日から十一日にかけて六カ所に侵入することを明らかにした。これに先がけて九日未明、三〇〇世帯が市内サンヴィット・ビルを不法占拠、警官と衝突の末に強制撤去される騒動が発生した。
この騒動で警官隊がビル内にガス弾を打ち込んだため、パニックに陥った。生後十カ月の男児を抱いた母親が五メートルの高さの窓から男児を投げ降ろす一幕も。幸い男児は路上にいた市民に抱きとめられてケガはなかった。母親は男児がガスを吸い込んで呼吸不全で気絶したため、とっさに投げ降ろしたと述懐している。
占拠運動のメンバーらは口々に政府の無政策に不満を唱えている。先にルーラ大統領が発表した経済活性化法案(PAC)で住宅部門に二六億レアルの予算が計上されたが、大衆向け住宅建設費はその半分にも満たないとし、個人住宅を持たない貧困層をないがしろにしていると指摘している。
その上で、最低賃金三カ月未満の所得層で住居を所有していない人が八〇%に達しているにもかかわらず、政府の目は中産階級以上を対象とした政策に向けられていると非難している。彼らはこれまで主張してきた、借家手当(ボルサ・アルゲル)三〇〇レアルを三十カ月間供与することを即刻実施するよう求めている。
これに対し連邦政府側は、住宅政策については市民代表団に説明ずみで、協同組合を組織することも提案したと反論している。また昨年、公営住宅資金としてサンパウロ市に一九六〇万レアルを追加交付したとしている。
これに対しカサビサンパウロ市長は、市内には恵まれない住宅環境に直面しているのが八〇万世帯おり、これを解消するには少なくとも三四〇億レアルが必要だとの見方を強調している。