2007年4月4日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】サンパウロ市カサビ市長が市内美化運動の一環として発令した野外宣伝広告の禁止条例が一日から実効となったのを受けて、商店の宣伝用大型看板が一斉に取り外された。このためサンパウロ市内の商店家屋は、さながら華麗な仮面が外されて素顔をさらけ出す様相を呈した。
禁止条例は七カ月前に市長が屋外広告は美観の公害に値するものだとして発令、それ以来論争の的となり、果ては提訴問題に発展した。高裁は先頃、禁止令は違法だとする訴えを退け、市長側の合法性を認める判決を下したことで今回の実効となった。
しかし論争は収まった訳ではなく、特に看板を取り外した後の家屋の原型が老朽化で壁などが崩れ落ちたり、ペンキがはがれてシミが浮いている状態が露出したことで、美観がより損なわれたと批判する向きも多い。また、路上の宣伝広告も被い隠されたことで、まるで工事現場の様相だと不快感をあらわにしている。
買物のメッカとされる通称三月二十五日街の商店街では、看板の跡の醜悪な部分を隠すため原色のきつい色のペンキを塗った。商店毎に違う色を使い分けたため一帯はカラフルとなり、商店主らは看板に優る宣伝になると満足している。
いっぽうアウグスタ街では、看板の影に隠れていた四〇年代の旧マジェスチック映画館が前代建築の全貌を見せて、往時の映画ファンのノスタルジーを誘っていた。
禁止令が実行されたことで、違反者は罰金の対象となるが、カサビ市長はこれに対し、法の順守が目的であり罰金徴収にこだわらないとして、監督官は温情主義で取締りに当ると言明している。法を順守する準備や対策を講じている商店には罰金を猶予するとの方針を打ち出している。