2007年3月30日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十九日】GOL航空は二十八日、ノーヴァ・ヴァリグ航空を三億二〇〇〇万ドルで買収したと発表した。ヴァリグ所有の航空機を現在の十七機から三十四機に増やし、ヴァリグのロゴは国内外の空路で継続使用することを同社は明らかにした。ヴァリグを買収しても、GOL航空の低コスト戦略に変更はないという。サービスに多小の変更があるが、スマイルズ(マイレージ)は引き続き継続。両社の合併により国内線のシェアは四四・八三%を占めるが、トップのTAMよりは二・五ポイント少ない。
GOL航空のヴァリグ買収額は三億二〇〇〇万ドル。GOLは自社株三%を手放し、更に手持ち資金の一〇%で二億七五〇〇万ドルを捻出した。残額については、ヴァリグ航空の債務一億レアルを肩代わりすることになった。
ヴァリグ買収によりGOL株は二十八日、六・二四%値上がりした。GOLのオーナー、コンスタンチーノ・オリベイラ氏が、八カ月間も経営不振にあえぐヴァリグ航空の買収は、ルーラ大統領の要請によるものだと述べた。
同氏は大統領へヴァリグ買収を報告するとともに、ヴァリグの路線継続と両社を独立採算制で経営管理することを約した。そうすれば、民間航空庁(Anac)による買収認可が容易になるという。買収による資産の移転も順調に運ぶよう、大統領がAnacへ発破をかけた。
ヴァリグ・ログが二〇〇六年七月、唯一の入札者として付けた指値二四〇〇万ドルより高い買い物となった。ノーヴァ・ヴァリグはわずか二機で営業を開始した。現在はようやく、十七機にこぎ着けた。再度の競売は、大統領要請の三カ月前に行われた。
ヴァリグは満身創痍といえども、五〇〇万人の顧客リストを持つ。国内線では、サンパウロ―リオデジャネイロ間を中心に全国主要都市を結ぶ断然有利な路線を持っている。欧米間を結ぶ長距離路線でも、豊かな実績がある。
中南米でGOLはドサ回りをしていたが、ヴァリグが目ぼしい路線を押さえていた。これからもGOLは、途上国間をエコノミー専門で運行する。ヴァリグは、エコノミーとエグゼクティブクラスに絞り、ファーストクラスを廃止する。
GOLは営業開始後わずか六年だが、年商三八億レアルで営業益が六億八四五〇万レアルに上る。TAMの年商七七億レアルと営業益五億五六〇〇万レアルに較べると、利益率では努力の程が伺える。
消費者にとってヴァリグの魅力は飛行距離を累計するマイレージだ。航空各社は乗客の減少と運行の経費高を便数の削減で補うことを検討した。しかし、路線の認可は、会社の都合で勝手に便数削減も運賃値上げもできない。その上、管制トラブルのオマケまである。
中南米路線では機内食の質が落ちた。フォークがなく、手づかみで食べることもある。シート・カバーは洗濯してないため、汗臭くベタつく。ローカル線は中古機を使うため座席は中味が飛び出し、無事目的地に到着できるか心配になる。ヴァリグの航空券を購入しローカル線へ乗り継いだら、どんなサービスが待っているのか。