2007年3月14日付け
【エポカ誌四五五号】政府は経済活性化の指南役として、社会主義経済の権威ゴードン・ブラウン氏の指導を仰ぐらしい。同氏はスコットランド人で近日、ブレア政権の企画相就任のため、ロンドンへ引っ越す。政府が草案した経済活性化法案(PAC)も出自は、同氏のインスピレーションである。
マンテガ財務相は二月一日、同氏と会い、経済活性化の技術指導を仰いだ。一一〇億レアルといわれるブラジルのインフラ投資にも、英国政府の資金協力を取り付けた。机上論だと悪評された官民合資法(PPPs)も、ようやく始動の見込みが立ったようだ。
インフラ投資は産業のけん引車で、ヤリクリ算段の政策では効果がないと同氏が忠告した。ルーラ大統領が注目したのは、英国の黄金律「政府はインフラ投資のために思い切って債務を負い、発展のメカニズムを築くこと。但し、この融資金は政府経費に流用してはいけない」という一句だ。
政府の均衡財政と産業戦略の取り組みがPAC成功の鍵だと、同氏が強調した。予算編成では、インフラへの長期投資を別扱いとする。インフラは貨幣製造機である。経済発展のための基盤つくりは聖域なのだから、初めから予算カットの対象から外す。
ブラウン構想は、重税批判には触れない。中国やインド程の経済成長率を達成できなくても、経済が熟成した国は低率成長が妥当だという。低率成長率でもPPPs(官民合資計画)の成功が国を支える。PPPsはいずれ民営化される性質のものだ。
政府はインフラ投資に協力した企業へ、資金の回収で便宜を図る必要がある。民間企業は、公団よりも低コストで高度のサービスに努力する。ブラジルはインフラ投資の法整備を行ったが、政府の面倒見が悪いから実りは少なかった。
ブラウン氏は、インフラ整備の中でも、教育と医療が最優先という考え。ブレア首相は九月に辞任を表明し、ブラウン企画相へバトンタッチをするようだ。首相就任の暁には、ブラジルの夢「経済活性化」の処方せんを手とり足とり指導してくれるらしい。