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横浜=老移民が好きなゴンさん=100年祭にちなみ写真展

2007年3月14日付け

 南米の写真を撮り続けて十年。フリーカメラマンのゴン・キシヤマさん(39、本名岸山克美、東京在住)が、十一日、ブラジルでの十六日間のあわただしい取材を終えて、帰国した。ゴンさんは、昨年大みそか、横浜市中区のシティアート館『ZAIM』(ザイム)で催されたブラジル日本移民百周年カウント・ダウン・イベントで、主催者から一部屋を提供され、写真個展「伯刺西爾 歳時記」を開催した。
 ゴンさんは、南米大好き人間である。写真専門誌に作品が採用されることはあっても、まだ、写真だけで生計が立てられないので、ほかで稼ぎ、取材費をつくり、南米にやってくる。九七年初渡伯、二回目は九九年、〇一年からは、毎年一年に二回以上は飛んで来ている。ブラジルでは、特に、日系人にカメラを向ける。移民の高齢者と親しむのがなによりの楽しみだ。理由は「(人が)温かい」。もちろん日本の日本人と比較している。
 九日午後、語った。「日本人の若者が、南米の悪いところをマネしている。例えば、ひったくりなどの犯罪だ。その上、日本人は冷たい」「南米各国は、社会の仕組み、人々の生活が先進国に近づいている」。南米の風物、人情が十年前より素朴でなくなっても、まだまだ南米が好きなようだ。
 「ZAIM」での催しは中南米交流センター(伊藤修主宰)主催、CAKARAエンタープライズ共催、REDE TV JP協力、在日ブラジル大使館の後援だった。年末、カウント・ダウン・イベントがあるときき、同館を訪ねたとき、自分の作品を主催者に見てもらう機会に恵まれた。すぐに、「部屋を提供するから、展示したら」とすすめられ話が決まった。
 ゴンさんは、十人の年輪を刻んだ俳句作句者の写真とそれぞれの(短冊に記した自筆の)俳句を選び、部屋の一面を飾った。その一つに、坂本美代子さん(サンパウロ市)の「奴隷祖とせしを嘆かず耕やせる」がある。ほかに二十点、ブラジルの風物と人物写真を選び、部屋の三面に展示した。これらは、主催者のイベント開催趣旨にぴたりと一致したものだった。ゴンさんにとっても初の個展となった。
 今回、ゴンさんは、ブエノスアイレス経由サンパウロ入りした。ブラジル滞在許可はたった十六日間だった。直接のブラジル入国は、ビザが取れず、できなかったという。ビザ取得は毎回きびしく容易でなくなっている。
 これまで訪れた国はブラジルのほか、ボリビア、アルゼンチン、ペルー、チリ。次回は、今度の写真展での〃実績〃をアピールして、なんとか在東京ブラジル大使館から、より長期のビザを取りたい、といい、帰国の途についた。