2007年3月13日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】国際決済銀行(BIS)は十一日、金融市場の調整の中南米経済への影響を懸念すると発表した。米国がくしゃみをすれば中南米は肺炎を患うというが、調整の度合いについては予想が出来ない状況にあるとBISはいう。BISは、二月二十八日の上海発世界同時株安がもたらした金融危機が、米経済にとってどの程度の不確定要因となり、また経済成長率を保てるか金融調整について協議する。ブラジルのような財政状態の国への世界同時株安のインパクトは、特に注意をする必要がある。経済活性化法案(PAC)を掲げ、経済成長率に賭けていた矢先、出鼻を挫かれるような思いという。
ブラジルは世界経済好況の間無為に過ごし、米経済が不確定時代と経済失速に入った今、経済活性化に挑戦することになりそうだ。メイレーレス総裁も含む中南米諸国の中央銀行総裁らは十二日、スイスのバーゼルに集まり、金融危機に弱い中南米経済の動向について協議する。
世界同時株安の震源地は中国であり、中国の一挙手一動が今後の動向を左右するが、金融危機の責任が中国にあるとするのは当たらない。BISは早くから、上海発世界同時株安が国際経済へもたらすリスクの衝撃を警告していた。同衝撃は、予想を下回る水準で米国の株価指数を推移させている。
スプレッド(金利差)取引が急減したことで、リスクの存在は明白となった。これからは、経済全体へどのように影響を及ぼすか見張らねばならない。懸念は、インフレがこの国際的傾向を助長するかどうかだ。ブラジルは経済成長の先行きが危ぶまれる今、株価がどう推移するか心配である。
ブラジルなど中南米の心配の種は減速した米経済であるが、経済成長率を二%に保てるとBISは踏んでいる。しかし、米減速経済が不動産市場や金融派生商品、設備投資にどう表れるか、予断を許さない。
これまで国際経済の平均成長率は四%から五%とされたが、一時の夢と費えた。このような経済成長率は二度と望めない。居眠りをしたブラジルの産業に対し各国の中央銀行は、国内の生産効率を引き上げるため努力をするように忠告したが、無駄であった。
国際水準以下の経済成長率で安閑としていたブラジルは、グローバル経済への参入に無気力であった。この愚鈍さを克服するには、国民に貯蓄を呼びかけ、国際金融の投資を呼び込むしかない。ブラジルが賭ける経済活性化には、米経済の労働コスト削減と生産性の回復如何が問われる。
米国自身の経済回復は、アジアから一部移植とは行かない。中国は金融危機の引き金に過ぎない。ピストルの本体は、米連邦準備制度理事会(FRB)のインフレを伴った政策変換であった。今度は政策変換が、減速経済へ姿を変えた。
中国が新たに設置した投資奨励庁は、外資の流れを変えようとしている。中国は一兆ドルに上る外貨準備高の一部を世界へ分散投資し、ブラジルもその投資対象国へ入っている。中国は投資の補償裏付けとして米国債を買いつづけ、国債でブラジルへ投資する考えだ。投資対象は金融債券とエネルギー株、食糧危機に備えた食品関係とされる。