2007年3月9日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二月二十八日】地方の開発が進むにつれて、犯罪も大都市離れの様相を見せ、地方小都市へ分散している。なかでも殺人の発生率の全国ランキングでは、ほとんど名の知られていない地方都市が上位を占めている、州間機関のイベロ・アメリカノ教育文化科学組織が、二〇〇二年から〇四年までのデータを基にして都市における犯罪白書を発表したもの。それによると、全国の都市の一〇%(五五六市)の市に全体の七二%の殺人が集中し、ランキングのトップは人口一万五〇〇〇人に満たない小都市だった。州都ではレシフェ市が全体の十三位に、サンパウロ市は一八二位につけた。
企業の地方分散化にともない労働人口が流動し、それにつれて犯罪も増加しているのが一般的傾向だが、一昔前の無法化したアメリカの西部劇もどきの土地争いなど、歴史的紛争や不法森林伐採の利権争い、麻薬組織の抗争も根強く殺人犯罪を構成している。
都市別の人口一〇万人当たりの殺人による犠牲者の全国ランキングでは、こぞって地方小都市がトップテンを占めた。なかでもマット・グロッソ州は五市が名を連ねた。いずれも土地争いや木材の利権争いが原因だった。
ランキングのトップはコルニザ市(マット・グロッソ州)で人口一〇万人当り一六五・三人だった。二位は同州のジュレマ市で一三七・八人。三位はコロネル・サプカイア市(マット・グロッソ・ド・スル州)の一一六・四人でこれも木材の利権争いが原因。四位はセーラ市(エスピリト・サント州)の一一一・三人で、油田発掘によるオイルマネーで栄えた町。五位はサンジョゼ・ド・シングー市の一〇九・六人で、先住民(インジオ)保護地への侵入で大量虐殺が行われた。
六位はビラ・ボア市(ゴイアス州)の一〇七人で麻薬抗争。七位はタイランジア市(パラー州)の一〇四・九人で、密輸と森林不法伐採の権力争いによるもの。八位は再びマット・グロッソ州の土地争いに戻ってアリプアナン市の九八・二人。九位はイタマラカー市(ペルナンブッコ州)の九五・一人で大麻取引抗争が原因。十位はマカエー市(リオデジャネイロ州)の九四・五人で同市も原油発掘による新興都市。
これにともない大都市、特に州都では治安強化もあり、ランキングを下げた。州都のトップはレシフェ市(九一・二人)で十三位だった。以下トップテンはヴィトリア市(七八・六人、二十二位)マセイオー市(六二・四人、七十三位)、ポルト・ベーリョ市(六二人、七十七位)、リオ市(五七・二人、一〇七位)、ベロ・オリゾンテ市(五五・一人、一二八位)アラカジュー市(五〇七人、一六三位)、クィアバー市(四九・一人、一七〇位)、サンパウロ市(四八・二人、一八二位)の順だった。
州別ランキングではトップテンがペルナンブッコ(五〇・七人)、エスピリト・サント(四九・四人)、リオ(四九・二人)、ロンドニア(三八人)、連邦直轄区(三六・五人)、アラゴアス(三五・一人)、マット・グロッソ(三二・一人)、アマパー(三一・三人)、マット・グロッソ・ド・スル(二九・六人)サンパウロ(二八・六人)だった。
サンパウロ州は全国で唯一、過去五年間で殺人犯罪が減少した州だが、それでも全国の二七%を占めている。サンパウロ市近郊のほかに、海岸都市が一一九%と急増し、カンピーナス地区の二一一・三%に次いだ。
サンパウロ州のトップはサンセバスチョン市(七六・九人)で全国の二十八位にランクした。また十五歳から二十四歳までの若者の犠牲者では一〇万人当り一六六・四人で全国の十一位に位置した。サンパウロ市は一〇三・二人と全国の一一〇位で、殺人総数の一八二位よりランクを上げ、青少年の犠牲者が都市圏に多いことを実証した。