2007年3月8日付け
九九年に韓国政府と韓国系コロニアが折半して資金を調達し、約二千万レアル(約十一億円)を投じて建設したサンパウロ市ボン・レチーロ区のコレジオ・ポリロゴスは、南米韓国系社会の模範となっている。
韓国とブラジル両方の卒業資格を取得できる独自の教育システムは、ドイツ系など各民族系で採用されているが日系ではまだない。日本の卒業資格なら「日本人学校」だし、ブラジルなら「日系校」だ。
ところが韓国系ではブラジル校が先鞭となり、現在ではアルゼンチン、パラグアイ、チリにも同様に両方の資格を取得できる学校が設立された。
開校以前の九七年から働くマリア・テレザ校長(ブラジル課程、58歳)も、「ブラジルで生まれた韓国系子弟も母国文化を継承することは重要だ」と説く。現在の生徒数は約三百人で、ほぼ全員が午前中のブラジル課程、午後の韓国課程の両方を履修しているという。
先月発表された〇六年度分ENEM(国家中等教育試験)のサンパウロ市内の公立・私立校のリストでも一千百八十二校中、三百三十五番を記録した。昨年度の卒業生二十三人からは連邦大学、マッキンゼー大学などの進学者も出している。
テレザ校長によれば現在までの卒業生で、韓国の大学への進学者は「ほとんどいない」状態だという。
同校の運営主体は韓国教育ブラジル協会。現在は、幼稚園から高校課程まである。七歳から英語教育が週に八時限あり、卒業時にはポ語、韓国語の三カ国語が堪能になるという。
さらに五百人収容の講堂も建設中で、テレザ校長は「あと数カ月で完成する」と説明した。
建設主体となった韓国ブラジル協会のパク・ドン・スー(Park Dong Soo)会長も「韓国コロニア四十四年の成果です」と胸を張る。
テレザさんが校長として働く決心をする前、韓国人の友人は一人だけだった。その友人に韓国人の国民性を問うと、「アジアのイタリア人さ。陽気で熱血、人なつこい」との返事。「今は、その意味がよく分かります」と笑った。