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環境保護活動に積極参加を=国連代表、伯を説得へ=アマゾンは開発より保護で利=異常気象の被害国の認識を

2007年3月6日付け

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙五日】国連環境計画(UNEP)のアチン・スタイナー代表は四日、ブラジルが地球温暖化防止の国際的活動に積極的に参加するよう説得するため来伯した。同代表はルーラ大統領や財界、農業生産者団体代表者らと会い、ブラジルは環境保護の世界的取り組みに対し懐疑的見解を採り、諸外国の批判の的になっていることを説明するという。ブラジルの見解は、一九九二年のリオデジャネイロEco92に対する誤解のためとみている。アマゾン熱帯雨林の保護は、伐採して農耕に活用するよりも大きな利益をブラジルにもたらすと述べた。
 世界の希少な酸素供給源とされるアマゾン熱帯雨林は、各国が森林保護を懸念する一方で年々伐採が進み、農地化は燎原の火のように進んでいる。気象異常でUNEPが、大統領を始め生産者団体へ説得のために出向いたようだ。同代表の説得相手は、政府関係者よりも生産者団体が標的のようだ。UNEPの見解では、多数の大手企業が森林伐採と耕地拡大に加担している。
 ブラジルの経済活性化計画により、国際環境問題におけるブラジルの占める地位が益々注目されている。グローバル・プレイヤーとしてのブラジルの役目は、環境の再生可能度についても配慮をする必要がある。そうすればブラジルの国内経済も予想以上に発展すると同代表がいう。サンパウロ市証券取引所は最近、新たに株式の再生可能指数という指標を設けた。投資家は投資要因として同指数も考慮するようになった。
 現在の国際競争力は、環境が優先扱いとされているかが問われる時代だという。ブラジルの産業界から国際競争力を高める政策とクリーンな製品とは何か、具体的説明が求められた。リオ92には途上国を支援する趣旨があったが、期待した程成果が上がらなかったため、ブラジルが不信を抱いたらしい。
 関係者や生産者にアピールしたいことは第一に、ブラジルもCO2削減に参加すること。第二は異常気象が既に起き、ブラジルも被害国と認識すること。ブラジルのアマゾンはブラジルのもの。外国がアマゾンのために何をしたか。アマゾンをどう使おうと勝手だという考え方がまだ残っている点を諌めた。
 アマゾンはブラジルの財産という考え方が支配的で、人類の財産という考え方はほとんどないし、国際管理には程遠い。しかし、国際管理にした方が、森林を伐採してサトウキビや大豆を栽培するより有利であると同代表は考える。
 これは見解の相違といえそうだ。グローバル市場と長期的視野から見るなら、国家主権を引き出さなくても自明の理という。ブラジルには経済活性化が環境よりも優先とする見方があるので、国内問題と国際問題を引き離して議論すると同代表が述べた。
 ブラジルは、鹿を追うばかりに山が見えていない。環境と諸外国との関係を見るなら、第一にブラジルの環境貢献度と、これから何ができるかを評価すること。第二にブラジルが、環境問題に消極的または積極的に取り組むか。それはブラジルが国際環境問題の鍵を握っているからだ。