2007年3月6日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙五日】今年に入り経済界は昨年に比べて活発な動きを見せているものの、工業生産は今一つパットせず、鈍い滑り出しの様相を呈している。昨年末のクリスマス商戦を含む年末商戦が期待に反して思うような成果が挙がらなかったことで、工業製品が在庫高となったのが尾を引いている。
年末商戦を当て込んで生産を増やしたことで、昨年十月から十二月までの第4・四半期の国内総生産(GDP)は三・八%の高率となり、年間二・九%に引き上げる原因となった。大方の予想は最高でも二・七%だった。その反動で今年二カ月間の工業生産は停滞する破目となった。さらにドル安レアル高の影響で輸入が急増したのも要因となっている。
今年に入り販売が順調に推移している業界もある。化学製品もその一つで、昨年十二月対比三・六%の伸びとなった。しかし業界によると、過去二年半にわたる落ち込みから元の水準に戻っただけのことで、新規需要の伸びにつながっていないとしている。
ただ昨年第4・四半期の増産で原材料の備蓄が少なくなって購入に走っている企業が多く、そのため一見して活発化の錯覚に落ち入り易い。陸上輸送の要となる大型トラックの走行数は昨年十一月対比四・五%の上昇となったものの、十二月対比で〇・四%増と横ばいとなった。また製品の梱包に使用され、出荷のバロメーターの一つとされるクラフト紙の今年一月の生産は、昨年同月対比でわずか一%の上昇にとどまった。
しかし今年に入り業績を伸ばしている部門もある。商業と建設およびアグロビジネスなどで、商業はコンピューターなどの電子機器に支えられ、建築業界は税制優遇措置の恩典が影響している。農業部門はコモディティの国際市場価格の高騰が幸いしている。