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昨年のGDP成長率2.9%=消費と投資が下支え=世界、途上国平均に程遠く=今年は3.5から4%と市場

2007年3月2日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙三月一日】ブラジル地理統計院(IBGE)は二月二十八日、ルーラ第一次政権の総仕上げとなる二〇〇六年度経済成長率は二・九%と発表した。消費(三・八%)と投資の増加(六・三%)の支えにより市場予測の二・七%をやや上回った。しかし、世界平均の五・一%や途上国平均の六・五%には程遠い。〇六年度第4・四半期の状況は、〇七年で回復の兆候を見せるものの、ルーラ政権公約の五%成長には遥か及ばない。〇七年の経済成長率は、市場予測によれば三・五%から四%が精一杯という。ルーラ第一次政権の平均成長率は二・六%で、カルドーゾ政権と同率となった。
 IBGE発表は、ブラジルが世界経済の流れから取り残されたことを如実に物語っている。国際通貨基金(IMF)が指導する途上国の経済成長率六・五%の半分にも満たない体たらくだ。途上国のしんがりクラス三十四カ国の平均は五・五%、ブラジルはパラグアイの後塵を拝する恥ずべきビリのビリである。
 現政権は経済音痴といえそうだ。世界各国の成長率に比して最低クラスに属し、経済史の汚点とされるコーロル政権のマイナス三・四七%とは兄弟分。ルーラ大統領は、経済成長率を大統領の一存や政府の一存で上下できるものではないと言い訳をした。
 低迷経済の原因を高金利とする者は、中央銀行を元凶として吊るし上げるに違いない。〇五年九月から基本金利を六・五ポイント下げたのに、なぜ産業界が死に体なのか分からない。
 重税や高金利、政府の浪費による公共投資の先細り、ブラジル・コストの増加、国際競争力の減退などを停滞の原因とする指摘もある。しかし、全般の活力低下の説明にはならない。
 大統領の口癖であった経済復興の景観は、いっこうに影も形も見えない。経済発展の障害とされる環境庁の工事認可遅れや管理規制の不備などに、鉄槌を下したかったに違いない。これらの障害は停滞以前からあり、経済低迷の根本的原因ではなさそうだ。
 IBGE発表を需要の変化で見ると、需要が投資を六・三%伸ばした。今日の投資は明日の発展である。但し投資の八〇%が住宅建設というのは、勤労者所得の増加になるが、経済発展に直接結びつかないのが残念だ。
 IBGE発表をカトリック大学のラセルダ教授は、工業分野の静かな空洞化と説明している。空洞化とはショックな表現だが、工業が解体されている現状を見て適切な言葉がないという。不利な為替と高金利、重税の三拍子は、政府の政策なのか不明だが、工業の武装解除といえそうだ。
 空洞化の背後には、改善されない官僚制度と不完全なインフラ、一貫性のないロジスチックがとりついている。さらに輸入品による国産品代替が、付加価値を見込める輸出製品の生産意欲を殺いでいる。ブラジルの国際競争力は技術的に黎明期にある。次世代産業といわれる携帯電話ネットから、地場産業が敗走しているのも一例だ。