仏人3人をナイフで惨殺=NGO職員らを逮捕=公金使い込みの証拠隠滅で=リオ
2007年3月1日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二月二十八日】リオデジャネイロ市コパカバーナ区で二十七日午前七時半ごろ、NGO(非政府団体)に勤務する三人の男女フランス人がナイフで刺殺される事件が発生した。
警察は同日、事件発生十時間後に、やはり同じNGOの職員の男(25)を殺人容疑で逮捕した。男は犯行を認めた上で、犯行に加わった二人に二〇〇〇レアルずつ払って共犯を依頼したと供述しているという。共犯二人も逮捕された。警察は、主犯の男がNGOの公金を使い込み、その発覚を恐れて証拠いん滅のために三人を殺害したとみている。
事件が起きたのはコパカバーナ区の目抜き通りのアトランチカ大通りとノッサ・セニョーラ・デ・コパカバーナ大通りが交叉するロナルド・カルバリョ街三階のNGO事務所。犯人ら三人組は午前七時ごろ事務所に到着、出勤してくる三人を待ち構えた。
殺害された三人はNGOリオ地区代表の女性(36)とその夫で職員の男性(42)、さらに女性の元の夫(38)で、それぞれ同ビルの九階と十階に住んでいた。
最初に出勤してきた元の夫は犯人らに拉致されて椅子に縛りつけられた。その後で出勤してきた夫婦は犯人らに抵抗、争いの跡が見られた。結局夫婦はナイフで惨殺された。縛られた男性も喉を切られ死亡した。現場検証をした警官はあまりの惨状に狂気の沙汰だと語っている。
主犯の男は金庫とともに逃亡を計ったが、被害者らの悲鳴を聞いたビル管理人が警察に通報した上で、ビルの門を閉めて外出を阻止したため、ウロウロしていた男は参考人として連行され、警察の追及で犯行を認めたため午後に入り逮捕された。
男は殺意がなかったと供述しているが、犯行現場にカーニバル用の覆面やナイフなどの凶器、手術用手袋などを持ち込んでいたことから、計画的な犯行とみられている。
NGOの財経を管理していた計理士は、犯人が以前から横領していたことを突き止めたために犯人の下工作で契約を打ち切られたとし、その後被害者らが不正を調べ始めていたと証言している。犯人の男は幼少からこのNGOで養育され、職員として勤務していたことで内部事情に詳しく、かなりの権限を行使していたという。
殺害された夫婦は十年前にリオ支部開設を機に着任。二歳の男児が一人残された。フランスから祖父が来伯し、引き取るという。