2007年2月17日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】政府は二〇〇七年度予算の歳出が歳入を上回るとみて十五日、公共工事と経常費予算の凍結分一六四億レアルのうち、半分を社会部門の予算とすると発表した。保健省の凍結だけで五八億レアルに上り、予算交付は議会の補足修正額を大幅に下回る。医療行政に携わる保健省は、昨年度凍結が六億レアルに過ぎなかった。経済活性化法案(PAC)の目玉である都市開発や交通機関の基幹インフラにも凍結は及ぶ。具体的内容は明らかでないが、特に議会の補足修正案が凍結対象になりそうだ。
議会は補足予算を一四〇億レアル上乗せしたが、〇七年末までに四〇億レアル位は交付見込みと、ベルナルド予算管理相がいう。議会修正の補足予算は、建前としての凍結である。カネが欲しければ、PACの承認と引き換えらしい。
政府は経常費と公共投資を基本に予算編成を行い、予算凍結を織り込み済みであった。真っ先に予算凍結の対象となったのは、議会の閥議員が多い観光省やスポーツ省、都市計画省、国家統合省である。
主な予算凍結の内容は、保健省がダントツで同省予算の一四・三%に当たる五八億レアル。続いて都市計画省の二三億レアル(予算の六一・二%)、運輸省の二一億レアル(同二五・四%)、観光省の一三億レアル(同七七%)、国防省の一三億レアル(同一八・一%)、国家統合省の一二億レアル(同五六・五%)など。
予算管理省は法務省の予算凍結を機器の購入と管理部門の整備費にとどめた。法務省予算は、治安維持予算として凍結が禁じられたばかりである。治安維持費と見なされないコンピューターやパトカーの購入費が凍結された。議会が治安維持費とするものは、触れていないという。
治安維持で例外の三ケースに指定された自然災害と歳入激減、不可抗力に対処するため法務省は、刑務所基金を設ける。基金で刑務所の保全と増築をまかなう。基金の資金は、PACへの協力で地方自治体から捻出する計画である。
国民の健康管理に直結する保健省の昨年度予算凍結分は、わずか六億レアル。今年度の凍結分は、昨年の一〇倍近い五八億レアルである。〇七年は税収減が見込まれるうえ、PAC資金も捻出する。政府の経常費は、体質的に上昇傾向にある。政府はPAC資金を、社会部門の予算凍結で捻出する考えらしい。
予算凍結は予定であって、どこから手を付けるか具体的なことは決まっていない。その前に政府は、PAC成功のため地方自治体の協力を仰がねばならない。さらに協力の前提には税制改革がある。
政府の予算凍結発表では、地方自治体への還元分から六一億レアルを減額するという。還元の財源は、所得税(IR)と工業税(IPI)だ。連邦政府が一レアルを徴収する毎に、〇・四四レアルを州や市へ還元する。
公共債務の金利支払いに当てる連邦政府の財政黒字は、投資パイロット計画を実施しつつGDP(国内総生産)の二・三五%へ下げると予算管理省が発表した。前途多難な〇七年となるらしい。