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凶悪犯受刑者に厳しい措置=下院=日帰り服役を規制=携帯電話所持も処罰へ=刑法適用年齢は継続審議

2007年2月16日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】下院は十四日、凶悪犯罪者への日帰り服役制度を厳しく規制する法案を可決した。凶悪犯罪者は刑期の六分の一を終えた後、これまでの日帰り服役を返上、さらに五分の二の服役を継続することになった。再犯の場合は五分の三。日帰り服役制度は、受刑者に外部出勤が許され、就寝だけ刑務所で過ごすとなっている。新法案は、凶悪犯罪に対し情状酌量の余地が狭められる内容となった。さらに受刑者による携帯電話やラジオ通信機の所持を重大過失と見なし、赦免や仮釈放の恩典を取り消す。同案は直ちに上院へ回される。
 ブラジルが幼児惨殺事件にショックを受けてから一週間、下院は凶悪犯罪防止二法案の緊急措置を執った。一つめは仮保釈の制限。二つめは日帰り服役の制限。刑務所が超満員であるため服役者の数を減らす措置が、凶悪犯罪の再発につながった。
 服役制度には、刑務所内での就労や態度、品行など減刑につながる数々の恩典がある。それが凶悪犯罪者には厳しく制限された。携帯電話の持ち込みを看過した刑務所幹部職員や一般職員も、一年以下の服役を科せられる。これまで携帯電話所持を罰する法令は存在しなかった。
 加算刑の二法案は、上院の承認を得なくても即時実効に入る。上院は下院通過法案の吟味役という見方だ。携帯電話法案は先に上院で可決され、持ち込みを看過した職員も刑事犯罪人として扱うことを下院で追加した。最終的には大統領の裁可が必要。
 日帰り服役法案の原案は、初犯は刑期の三分の一服役後、再犯は二分の一服役後となっていた。これらは、いずれも下院で却下された。また最高裁は昨年、凶悪犯罪者への仮釈放阻止は違法という判断を下していた。上院で承認した治安対策予算の優先指定も、下院で削除された。
 下院は十五日、緊急法案として暴力団の結成と未成年者を組員に取り込む犯罪に対する刑罰の倍増案を審議する。暴力団の組員になると、ボスは犯罪人とならない未成年者に殺人を命じる。だから軽犯罪で逮捕された服役者が未成年当時、多数の殺人罪を犯していても犯罪歴に記録されていない例が多い。
 成人後は、凶悪犯罪に直接手を下さないから短期で仮釈放される。暴力団幹部は専ら犯罪の企画と後輩の指導に当たる。幹部は刑法の勉強も怠らない。彼らは、法の網をくぐる紙一重の差を心得ている。
 刑法の適用年齢引き下げは、事実上意味をなさない。十六歳に引き下げても、殺人実行犯の年齢が若くなるだけで犯罪そのものには関係がない。政府は上院が十五日に表決を予定していた年齢引き下げ案を二十八日へ延期させた。
 ジェレイサッチ上議(ブラジル民主社会党=PSDB)案は、刑法適用年齢の撤廃である。年齢に関係なく凶悪犯罪を行えば、刑務所入り。問題は精神異常者の定義だ。凶悪犯罪を行う人間はみんな異常だ。罪悪感を持たない未成年者も多い。
 この見解は党に関係なく意見が二分した。犯罪という病根の原因として、経済低迷により限界状況へ追い詰められた人たちの存在、失業、家庭崩壊、倫理観の頽廃、無責任な理想主義が指摘された。