2007年2月16日付け
「文協が国士舘を手放したらコロニアの恥」――。コチア青年連絡協議会の定期総会が十四日、サンパウロ市の宮城県人会会館でおこなわれ、「コチア青年の森」があるサンロッケ市の国士舘スポーツセンターの管理問題について、意見を交わした。同センターは文協の所有、しかし、管理に年間六万レアルもの赤字を抱える。そうした状況から将来、文協がセンターを売却するのではと危惧する会員の一部から、コチア青年が中心となって、「国士舘を守る会」を結成し維持管理にあたるべきと発言、大きな賛同を得た。「コチア青年の魂」を守りたいと、会員の思いは熱くなっていると言えそうだ。
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同センター敷地内には〇五年、コチア青年移住五十周年を記念してつくられた「コチア青年の森」がある。五十種類のブラジル原産の木が植えられており、「自然と人類の共存」と書かれた高さ三メートルの記念碑が建てられている。
新役員のあいさつ後、会員の白旗信さんが同協議会が中心になって「国士舘を守る会」を組織し、センターの運営管理にあたるべきと提案。「コチア青年がコロニアに残せる事業になる」と呼びかけ、まずはセンター運営の権利を譲るよう文協に働きかけようと訴えた。
中島エドアルド文協事務局長によれば、同センターの維持・管理費用は毎月「約五千レアル」。年間六万レアルの赤字額を生み出すセンターは、文協にとってコロニアの財産であると同時に、〃大きなお荷物〃ともなっている。
これに続いて西川忠雄さんが発言。文協元会長の山内淳さんが、「国士舘(センター)を何とかしなくてはいけない。全伯に会員がいるコチア青年が動けば賛同する人も多い」と述べたことを紹介。また、センター隣りにある土地を韓国系の財閥が購入し、ゴルフ場やホテルをつくる動きがあると語った。
続いて山田充伸さんも、「国士舘を守るのは新役員の大きなテーマ」と強調。「青年の森を二世の人にバトンタッチできる態勢を整えるべき」と述べ、会場から大きな拍手を得た。
同問題について、文協内での実情を聞かれた杓田美代子文協副会長は、「センターを売却すべき」とする意見と「管理維持に努力すべき」との二つの意見に分かれていると紹介。今後の方向性としては、今年四月の文協選挙後に開かれる新役員会に合わせて、正式に協議会から要望書を出すことを出席者に提案した。
これら一連のやり取りに対し、高橋一水同協議会前会長は「新事業の立ち上げとなると、お金もかかる。会費中心のコチアではきびしい。じっくり時間をかけて検討すべき」として、加熱する場をおさめた。
定期総会には、元コチア青年ら約三十人が出席。〇六年度の事業・決算報告がなされ、スムーズに承認された。また、役員改選がおこなわれ、ピニャール移住地の山下治さんの会長就任が決まった。
山下さんはこの日、会場に向かう途中、車の故障に遭い総会を欠席。第一副会長の新留静さんが代わりに「会のために努力していきたい」と抱負を述べた。
▼会長=山下治。第一副会長=新留静、第二同=坂東博之、第三同=白旗信、第四同=前田進、第五同=黒木美佐子。相談役=瀬尾正弘、益田照夫、神取忠、黒木政助、永山八郎、香川公宏、高橋一水、黒木彗、玉腰範義。