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次世代エリート育成めざす=ボン・レチーロ=第44回韓国移民の日=〝草分け〟も出席、盛大に=顕彰された下平尾さん

2007年2月16日付け

 六三年二月十二日、オランダ船チチャレンガ号に揺られ初めてのサントス港に上陸した百三人が、韓国人先駆移民だ。これを記念して十二日午後九時頃から、ボン・レチーロ区のコレジオ・ポリロゴス(韓伯学院)で第四十四回韓国移民の日式典が行われ、地元ユダヤ系団体代表者も含めて約百二十人が慶祝にあつまった。
 まずは韓伯の両国歌を独唱者のリードの合わせて唱和し、先亡者へ一分間の黙祷を捧げた。続いて、主催団体の韓国ブラジル協会のパク・ドン・スー(Park Dong Soo)会長は挨拶の中で、会場となった同コレジオにふれ、「韓国系社会と韓国政府が力を合わせて二千万レアルを集めて建設した」と強調し、四十四年間の成果を代表する一つとして顕彰した。
 クゥオン・ヨン・ウック(Kwon Young-wook)在聖韓国総領事も、服飾業を中心に五万人にまで増えた韓国系コロニアの繁栄を讃えつつ、「もっとファッションやテクノロジーなどのセミナーを行い、二~三世世代のエリートの育成に励む必要がある」と檄をとばした。
 続いて、司会のクゥオン・M・H・アウグスト・(Kwon Augusto)元会長から紹介されたのは、下平尾哲男さん(二世、大阪なにわ会会長)だった。「最初の移民は、店を開けようにも保証人もおらず、本当に苦労した。喜びも悲しみも成功も歓喜も、彼らと共にしてきた」と証言し、移住当初から弁護士として支援を続けてきた経験の一端を語った。
 最期に下平尾さんが「マンセー!」(万歳)と両手を挙げると、会場からは大きく唱和の声が響いた。
 クゥオン元会長は司会をする中で、「二世の中にはサンパウロ州裁判所の裁判官、弁護士など法曹界で活躍する世代も生まれている」と語り、「ここではどんな人種も社会的に統合される。他の国ではこんなことは起きない」とブラジル社会を賞賛した。現在では三世まで誕生している。
 次に会長から感謝状の授与が行われた。同区所轄の第二警察署、第十三機動隊、韓国コロニアも代表して連邦議会へ入ったウイリアム・ウー下議(代理)、同コロニア最高齢のキム・サン・ウォン(Sang Yong Kim、93歳)さん、韓国政府の役人として初期移民に許可証を発行しその後に自らも移民となったハン・クッジン(Han Kook Jin)さん、六三年の第一回移民の前年に先発隊として渡伯したコー・クァン・スン(Ko Kwang Soon)さんなどが顕彰された。
 十四人いた先発隊の唯一の生き残りコーさん(89)はニッケイ新聞の取材に対し、「二、三日前に先発隊の仲間の一人が亡くなり、自分だけになってしまった」と残念そうに達者な日本語で語った。
 その後、韓国系若者により、ピアノやバイオリン、フルートなどのクラシック音楽の演奏、三方を囲む太鼓を曲芸のように打つ伝統芸能の太鼓踊りなどが披露され、さかんに拍手が送られた。
 最後は韓国料理が振る舞われる晩餐会となり、深夜十二時頃まで賑やかに来賓たちは歓談を楽しんだ。