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離婚法制定から30年=再婚が初婚上回る時代に

2007年2月14日付け

 【ヴァロール紙一月二十八日】離婚法が一九七七年に制定されてから三十年になる。昔は白い目で見られた離婚者が市民権を得たようだ。社会構成の標準が変化し、離婚組は商店の上得意として歓迎され、消費パワーにもなっている。
 離婚法の適用を受けて自由の身となった第一号は、ヴォウタ・レドンダ市在住の地政学教師ヴァニ・ベデ女史(58)らしい。彼女は再婚したが、新郎の両親から結婚詐欺だと罵られた。生まれてきた子供らも、いとこらから差別と偏見の眼にさらされた。
 ブラジル地理統計院(IBGE)の報告では、二〇〇五年に初婚組より再婚組が上回った。これは、結婚相手に離婚経験者への偏見が希薄になった時代変化の一面といえる。結婚失敗者を社会的不具者とみなした三十年前と比べると、大きな変化といえそうだ。
 同法制定以前、離婚者は男女とも中古品のレッテルを貼られた。両親は娘が中古品の男と結婚することを恥じた。息子の親も同じ。美しい無垢の娘がゴマンといるのに、よりもよって付録つき女に騙されるのかと慨嘆した。離婚のケースは、中流以上の家庭に多いようだ。
 不動産業者は、マンションを小中大クラスに分けて造らせる。豪華なマンションに移りたければ、テナントは夫を交換すればよい。マンションのホールで美しい女性に出会うと、夫を交換するときは知らせるようサインを送る。
 両親の離婚は子供たちにとって苦痛であるが、母親にはマネービル。夫を交換する毎に女性は社会の階段を上る。中年女性は美容と男性心理学の勉強に怠りない。曲線美を保つダイエットやエステティックは欠かさない。
 離婚と再婚が通弊化した家庭に育った子供は、人間愛が分からず悩む。離婚法の制定には国会議員のほかに宗教関係者、心理学者、精神科医、法学者が集まって議論を交わした。本来の目的は、婚姻法に縛られた不幸な結婚からの解放であったのだ。
 離婚手続きの簡易化を検討中だ。登記所へ行って簡単に結婚できたように、離婚もできるらしい。人間の結婚も、犬猫並みになるらしい。結婚はホモ、レズもできる。別れた夫の姓を引きずるのは面倒だから、改姓不要になる。
 産業界は、離婚者を有望な消費者として位置付けた。コカコーラは、一リットル入りを家族向けに、離婚者のために三〇〇mlを新設した。家電製品は、コーヒー専科で料理をしない離婚者用に設計している。スーパーも一カ月分の買いだめが減り、半製品の売上げが増えた。
 離婚者向けサービスの新職業が次々開業している。独身貴族ならぬ離婚貴族の登場である。離婚したら、イメージ・チェンジのために内装を一変する。離婚者は、生気溢れる雰囲気の演出を好む。ホームパーティは職人を呼び、手料理はなくなった。
 離婚した女性は、美容のためカネに糸目をつけない。家庭を守る主婦とは、格段の違いがある。美容室や化粧品、ブティック、SPA、整形外科は、離婚女性で大繁盛である。男女は離婚当初、心理的に異なる。男は開放感を味わう。女は不安を感じる。
 今までの一般消費者より、離婚者は注文がシビアだ。男女ともシビアだから結婚が座礁したのだ。離婚者はこだわりに執着する。素人芸を排斥する。言い換えるなら、わがままな一面がある。離婚者は譲歩と辛抱に欠けるというのが、業者の観察である。