2007年2月14日付け
JICA(国際協力機構)が実施機関になっている日本政府の「日本語教師本邦研修事業」が、〃見直される〃とあって、日本語センターを中心に「続けてください」の署名運動が行われる▼見直そうとしているのは、総務省内の、JICAのような行政法人の事業が適切なものであるか、否かを評価する委員会である。もし、そういう事業は要らないと評価されれば、研修事業の予算はいずれ打ち切られ、研修は行われなくなる▼そもそも、この研修事業は、移住者の支援ということで続けられてきた。移住者の子孫の日本語教育を支援することが移住者支援である、という考え方である。時を経、南米の日本人移住国の日本語教育事情は、随分様変わりした。平たくいえば「日本人の子孫だから、日本語を」でなくなった▼教師ら教育を推進する側の理念もかわった。学習者の実態を見よ、である。今、学ぶ動機は「日本を理解したいから」である。日本語センターは「学習者たちは日本に親近感を抱き、将来は日本の理解者になるだろう」と訴える。この訴えは正しい。現場に立つ者たちの実感であろう▼センターの谷広海理事長は「日本の地に立ったことがない人が、どうして生きた日本語を教えられよう」と研修の重要性を端的に言う。幸い、JICA側は、日本語教育事情が変遷している実状を知っており、署名陳情は、しかるべき他機関にも行っていい、という姿勢である。関係者と共に事業が続けられることを願っている。(神)