2007年2月7日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙一月二十七日】ブラジルが過去二年間、スキャンダルもみ消しで奔走している間に、中国軍は目と鼻の先まで塹壕(ざんごう)を掘っていた。最近は中国の話を聞いても誰も驚かなくなった。中国自動車協会は、二〇〇六年の自動車生産が七〇〇万台に達したと発表。自動車では先輩のブラジルが二七〇万台で足踏み状態にある。中国報告とは津波警報のようなもので、ブラジル人には実感がない。
自動車組み立て企業が、中国では一二〇社もひしめいている。毎年七〇〇万台もの自動車生産で、ブラジル人が心配するのは、自動車市場ではなく排気ガスである。中国政府も本土の大気汚染を憂慮して、エタノールの混入を命じるかも知れない。そうすると、ブラジルのエタノールが売れると期待している。
ブラジルでは自動車市場の争奪戦より、エタノール景気の到来を喜ぶ声が高い。中国製自動車は同型種なら、ブラジル製より三〇%安い。しかし、ブラジルの自動車関係者は、中国製自動車と聞くとタカをくくる。自動車と呼べる代物ではないという。中国の通商戦略は「徐かなること林の如く、掠め取ること火の如し」だ。日本や韓国も最初、タカをくくった。
中国は、二一九億ドルに上るブラジル市場を狙っている。ブラジルは現在、自動車に三五%の輸入関税を課して国産車を保護している。しかし、ブラジル製自動車を中国へ輸出するため、関税障壁はいずれ撤廃される。中国と真剣勝負をするため、ブラジル製自動車はコスト削減で血の小便をさせられる。