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本当の豊かさとは――芳賀さん農協セミナーで講演=「観光農園残したい」

2007年2月7日付け

 「根を張ることが大切」「いつも次のことを考えてきた」、そして「小を積んで大となす」。
二宮尊徳の教えを自分の信念とし、農業に携わって今年で四十九年。芳賀七郎さん(73)は、ブラジルで最も密度の濃い蘭の生産地、モジ・ダス・クルーゼス市イタペチで花卉栽培に従事している。
栽培面積九・六ヘクタール、販売所二・四ヘクタール、観光農園二十四ヘクタールを手がける。「七十を過ぎたし、勲章なんてほしくないけど、ブラジル社会、イタペチに何か残したい」。
芳賀さんは、日系農協活性化セミナー(JICA、農拓協主催)で講演し、これまでの人生と自身の農業哲学を語った。
 「パトロンの家でその本を読んだことが自分の人生を変えた」。芳賀さんは一九五八年にコチア青年として来伯し、イタペチに入植。パトロンのもとで働きながら、二宮尊徳についての本を四年間、何度も繰り返し読んでいたという。
 「移民の歴史はわかっているけど、日本人はお金を求めて動いた。けど、豊かさはお金だけじゃない。自分はイタペチに四十七年、場所を変えずに来た。本当の豊かさとは何なのか、を考えてきて、今がある」。
 いつでも「次」を考えて行動を起こしてきたという芳賀さん。「バカな人は天気がいいと明日も天気だと思う。利巧は天気がいいと、明日は雨だと思う。それがバカと利巧の差」。
野菜作りをしていたが、七六年から花の栽培を始めた。人気が長持ちする多種、多色なベゴニア、セントポーリアを経て、八六年、蘭の栽培へ移った。
「最高のときは蘭一鉢とバタタ一俵が同じ。十万鉢くらい持っていたな。六鉢が同業者の一カ月の給料だったこともあったよ」と、芳賀さんは当時を思い出して、笑った。
 セミナー参加者らは後日芳賀さんの農場を訪問。自宅の「ベゴニア御殿」、蘭栽培用のハウス、観光農園を見て廻った。
 「昔は開花調節をしても儲けがあったけど、今はダメ」。CEASAに卸すのもやめ、現在は卸し、農場での直売、ネット販売など売り方の研究にも怠りがない。
 観光農園には桜が三百五十本。カフェやイッペーもあり、計約七千本の樹木が植えられている。「桜のときは桜祭り、イッペーの時はイッペー祭りをやろうと思う」。
 農園開きには約四百人が集まったという。「地域にも貢献できて、何か残るものをと考えた。これが私の最後の仕事。サンパウロに近いんだから、『近郊風景はイタペチ』といわれるようになればいい」と芳賀さんは期待を込める。
 同じイタペチできのこ栽培を営む花岡実男さんは「芳賀さんの活躍はいい刺激になる」。イグアスーからセミナーに参加した伊藤勉さんは「いい意味でのモデルだ。技術の取り入れ方や土地の見方、販売方法など、学ぶところが多い」と訪問の成果を語った。
 芳賀さんは、観光農園を見渡し、「今で四年半。もう少し整備して大きくなるまで待ってほしい」と農園の成功に自信をみせた。
 芳賀さんの農場はEstrada Taboao ?Itapeti, KM25-Colonia Itapeti M.Cruzes-SP、連絡先は11・4724・9619、メールアドレス=haga@netwalk.com.br