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コラム 樹海

2007年1月30日付け

 キューバといえばヘミングウエイの「老人と海」だが、あそこの海は釣り好きには最高のところらしい。昔、サンパウロ総領事からキュ―バ大使に栄進したK氏から100キロをも超すようなカジキを釣ったの手紙があり「遊びにきなさい」とあった。当時のブラジルは軍事革命政権の頃だし、キューバとの国交関係はない。それでも、メキシコ駐日大使館に連絡するので心配は無用―としてあったが、それでも行けなかった▼あの国がカストロ革命に成功しバチスタ独裁政権を倒したときの興奮は今も覚えている。チェ・ゲバラの活躍もあったし、国有化した農場への手伝いにといった話もあり日本の学生らは大騒ぎし「革命バンザーイ」と叫んだりもした。1959年のことであり、62年には旧ソ連のフルシチョフによるキューバへのミサイル基地建設が明るみになり、ケネデイ大統領との「キューバ危機」が起りあわや第3次世界大戦が勃発しそうだった▼あの革命から48年―。中南米初の社会主義国家となったキュ―バも、掲げる理想は大いに結構ながらいささか力が落ちたのではないか。あの颯爽とした軍服姿での演説は9時間にも及んだとかのカストロも老いて病に倒れ、勇ましい迫力はない。国民所得も1人当たり2600ドル位とあまり高くはない▼反米の闘士チャベス大統領は、持ち上げるけれども、カストロも老齢であり体力の衰えは隠せない。国の後継者もきちんとは決まっていないようだし、これも気掛かりである。確かに「革命の英雄」ながら毛沢東と同じように政治家としても成功したのかどうかの―疑問は多い。 (遯)