2007年1月24日付け
日本の地方紙で先日、戦後満州から引き揚げる際に持ち込めなかった貯金通帳が、六十年ぶりに娘に返還されたという記事を見た。持込制限を超えていたため税関で保管されていたものだ。
金額は三千四百円。既に価値はない。それでも受け取った女性は「父親の筆跡がなつかしい」と話していたという。
記事を読み、ブラジルにも戦後、多くの引き揚げ者が移住したことを考えた。人によっては日本よりはるかに長い年月を国外で過ごしたことになるが、それぞれが日本への思いを抱いている。
時は過ぎ、人の流れはブラジルから日本へ移った。日本での時間の方が長くなった子供もいるだろう。中にはこれからずっと日本で暮らす人もいるかもしれない。
移住一世にとっての日本と同様に、将来この子供たちの目にブラジルはどう映っているのか、ふと思った。 (ま)