2007年1月19日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】リオデジャネイロ市で開催される第三十ニ回メルコスル首脳会議の準備委員会で十七日、ボリビアの新加盟をめぐってブラジルとアルゼンチンが対立した。亜代表は、ボリビアをメルコスル関税協定から除外することを要求。他に協定基金や内規、ウルグアイやパラグアイが域外からの輸入品をブラジルへ輸出する場合の免税措置、域外輸入の数量制限撤廃などで伯亜両国は対立、波乱含みの様相を見せた。亜代表団は不本意な協定が締結されれば、退場する意向を表明した。関係団体は、本会議に向けた事前打ち合わせをしなかった外務省の手落ちを責めた。
ブラジル政府は、いつも継子扱いのパラグアイとウルグアイにとって、新しい仲間ボリビアが加わることは望ましいと考えていた。ブラジルはまず新客を迎え、後で細則について話し合う心算であった。ところが亜代表はまず細則を話し、納得したら仲間として迎えるべきだと反論した。
問題児ベネズエラを迎えてわずか五カ月、メルコスルは新しい試練と向き合うことになった。ボリビアのメルコスル加盟は、関税協定の義務履行の条件が付く。義務履行がない場合、加盟は無効となる。加盟取り消しは、ウルグアイの脱退と、米ウルグアイ自由貿易協定への鞍替えを意味する。
早くもメルコスルの二本柱は揺るぎ始めた。南米共同市場を夢見るブラジルの思惑は、戦略の見直しを余儀なくされた。ウルグアイからパルプ戦争の調停を依頼されたことをブラジルは完全に忘れていたらしい。頼りないブラジルに業をにやしたウルグアイは、国際司法裁へ持って行った。
ボリビアのメルコスル加盟に対するアルゼンチンの思惑は、ボリビアのガスの同国向け供給条件にかかっている。その上、ブラジルのペットボトルに対する輸入課徴金や、ブラジルが外資導入へ与えた税制恩典もかかっている。
加盟国の首脳が顔を合わせ、腹の探り合いをするのは十八日夜。会談内容は、二〇〇六年に解決済みであるべきだったのを先延ばししていた共通関税である。パラグアイやウルグアイなど弱小加盟国への融資を何もできないうちにボリビアを迎えることになった。
メルコスル共通関税の延長には、ペルシャ湾アラブ諸国と中米間の共同市場構想が六月調印予定で待っている。ここでモタモタすると、全てが虻蜂取らずになる。首脳会議には、ベネズエラのエネルギー、通信企業の国営化宣言という爆弾もある。メルコスルの設立理念と同国の間に、政治手法で矛盾が生じたからだ。
メルコスル首脳会議は、いつも問題先送りで前進か後退か分からない。ビールに例えるなら、泡ばかりでビールが見えない。共通関税を協議する前に、加盟各国は共通の貿易政策を協議すべきではないか。貿易政策は、投資促進につながる財政政策に立脚する。
チャベス大統領による社会主義国家の設立宣言は、メルコスル首脳には何か良く分からず、キツネにつかれたようだ。その結果何が、起きるのか分からない。分かるのは、実質的非加盟というメルコスル加盟らしい。