2007年1月19日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】サンパウロ州ソロカバ市でレイプ(強姦)などの性的被害者を病院内で一貫して治療や法的手続を行うことができるようになり、全国に先がけた初の試みとして好評を呼んでいる。これは病院の医師らによるイニシアティブで、同市以外のボトゥカツー、アヴァレー、アシスの各市でも採択を取決めた。州当局は全国的な動きに発展させたいとの意向を示している。
強姦罪を実証するには、まず警察に被害届を出し、その上で法医学研究所(IML)で精密検査を受けて確認されて、始めて病院での無料治療を受けることになっている。被害者は煩雑な手続きを繰り返した挙句、三カ所で被害状況を逐一報告するという精神的屈辱を味わうことになる。
このため告訴や被害届を出さずに泣き寝入りするケースが多く、これが再犯につながっている。また手続きの煩雑で検査の結果が出るのが遅れて、加害者に移された病気や妊娠が進行する例が多々出ている。
今回のイニシアティブは法的手続きは後回しにして治療を行うことを優先している。性的病状の予防や、女性の場合は翌日でも効果のある妊娠予防剤、男性の場合は肛門から侵入する性病などの予防を行っている。その上で本人が同意すると法的手続きを開始する。その際、警察と法医が病院に呼ばれ、その場で手続きや検査が行われる。また担当医が状況説明や所信を述べるため、繁雑さは省略される仕組みとなっている。
同病院によると、従来は月にせいぜい六人程度が加療に来ていたが、このイニシアティブ開始後は月間三五人、多い時は四十人の被害者が訪れるようになったという。これにより同病院の受診者は二〇〇六年度、三九一人に上り、その九〇%が女性だった。このうち七〇%が五歳から十二歳までで、被害者の六五%の加害者が夫、隣人、義父の顔見知りの犯行だった。とくに義父による被害は二〇%に達した。
また同病院では警察の動向とは別に、加害者に血液検査を受けるよう呼びかけている。〇六年には加害者と断定された四七人のうち、一人が拒否したのみ。検査ではエイズのHIV保持者二人が見つかった。この被害者にはエイズ予防薬が投与された。