工事現場陥没=犠牲者2人の遺体発掘=事故から3日経過=マイクロバスは確認のみ=作業員の不明者は未確認
2007年1月17日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】地下鉄工事陥没事故の現場で救出作業に当たる消防隊は十五日、事件当時カプリ通りを通行中だったアビガイルさん(75)の遺体を掘り出した。続いてマイクロバスに接近し後部座席に横たわる遺体を目撃したが、土砂が崩れたため発掘はできなかった。マイクロバスは、後部ガラスが破損し大量の土砂が車内に充満していた。ゴウドマンサンパウロ州副知事は、責任追及の段階ではないが、事故は技術上のミスとみていると述べた。セーラ知事は犠牲者の遺体発掘と遺族への配慮を優先するが、工事責任は請負企業連合にあると述べた。
救出作業が始まって六十二時間後、二人の遺体が警察犬の探索で発見された。犠牲者のアビガイルさんは、年金生活者でサーフィンの練習から帰る途中だった。高齢だが、活発で明るかった人柄が惜しまれている。陥没現場はがれきの山で、一つを取れば他が一度に崩れるあり様である。
工事現場の作業員については、行方不明者の実態が把握されていない。マスコミがマイクロバスにスポットを宛てたため、作業員の犠牲者数は明らかにされず、作業員の遺族から猛烈な抗議が出た。
工事請負企業の技術者は事件前日の十一日、駅構内の天井部分に二センチ幅の割れ目を見た。責任者は応急措置として型鋼入りコンクリートブロックで駅構内を外部から支えることを考えたが、実行が間に合わなかった。十二日早朝、現場に到着したときは危険な非常事態にあった。
コンクリートブロックが時間的に間に合わなければ、内部に大径鋼管を補強に入れる方法もあった。割れ目のあった天井部分が十二日、落盤して大量の土砂が駅構内へなだれ落ちた。全作業員を直ちに避難させたが、財布を取りに戻った運転手は逃げ遅れた。
トンネルの壁部分が、土砂の重圧に耐えるに不十分であることに気付くのが遅かった。その上部では、資材取り出し口も呑み込む広範囲で大規模な陥没事故が起きていた。同様の土砂による重圧事故はスマレー駅の近くでも起きそうになり、大径鋼管で事前防止を施し、事故を回避した経緯がある。
請負企業連合は八月、地盤が軟弱なピニェイロスとファリア・リマ両通り周辺の工事遅れを懸念していた。工事は予定よりも深く掘り下げる必要があるため、工程に遅れが生じていた。この地域一帯は、ひんぱんに住宅のひび割れが続出し、軟弱地盤が請負企業の頭を痛めていた。現場要員には、掘削による地盤沈下の危険性を警告していた。
建築技師協議会(CREA)によると、同地域の軟弱地盤は周知のことで、安全確保を特に注意するよう警告済みだったという。だから降雨による不測の事故には当たらないと判断した。サンパウロ大学工学部は、請負企業の経費節約とは思えないが、地質調査と監督の手抜きとみている。
サンパウロ州検察局は、地下鉄四号線が官民合資プロジェクトであり、監督責任は州政府にもあるとした。事故責任は民法と刑法の両面から裁き、業務上過失致死罪に問われるらしい。