2007年1月16日付け
「大きな催しごとになるのは好きじゃない」。裏千家の初釜のことで、十年以上も茶の湯を続けてきた知人がこぼした。
「人に見せるためのものじゃないから、まわりがガチャガチャしてたらゆっくりできないじゃない」というのだ。初めて参加した人は「懐石料理かと思った」。茶道といえば、静かな中で日本食とお茶を、と期待するのもあたりまえか。
「確かにね、ダンスと音楽で華やかにするのは茶道のイメージとは違うけど、ここはブラジル。皆さんが楽しんでもらえるようにしたからでしょ」と会場で会った婦人はさっぱりしている。そうか。
『茶道とは「もてなし」と「しつらえ」の美学』と裏千家のホームページは紹介する。「一番いいものを捧げたい」と主催者が考えた趣向は〃ブラジル風〃だけれども、茶道の心は生きている気がした。 (稲)