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謎めいた連続襲撃事件=動機不明、組織特定できず=リオ

2007年1月12日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十二月三十一日】犯罪組織による一連の襲撃事件で混乱に陥っているリオデジャネイロ市だが、保安当局では、その動機と目的を確定できない状態でいる。いずれの組織も犯行声明を出しておらず、特定の組織と断定する物証も挙がっていない。
 このことから、麻薬取引の根城としているファベーラを警察当局により封鎖された腹いせに一部が暴動を引き起こしたのを契機に、全体に広まったとの見方をしている。この背景には近年当局の取締りに屈服していた組織が、当局へのけん制、市民に恐怖感を与えることで存在を誇示するのが狙いだとみている。
 昨年五月以来、サンパウロ州ではPCC(州郡第一コマンド)による襲撃事件が多発している。リオ当局では当初、これが飛び火してPCCが背後で動いていると危惧したが、状況から見て双方の連携はないとの結論に達し、安堵の胸をなで下ろしている。双方が手を組むと巨大なものとなり、現状では警備に手が回らないのが実態だからだ。
 リオ市の犯罪組織は八〇年代から活動を始め、PCCの九〇年代より歴史は古いものの、今回の襲撃事件はPCCを手本と強いるものが多々ある。双方の共通点は武器で市民を恐怖に落ち居れたこと、警察をターゲットとして傍らバスを焼打ちしたこと、組織員以外の「便乗組」を誘い込んだことが挙げられる。
 これに反し、連携プレーではないとの判断の根拠となった相違点は、リオ市では刑務所での暴動の呼応がなかったこと。PCCの命令は刑務所内の幹部から発せられたのに対し、リオ市では市中で各組織の幹部が発した。リオ市では乗客を乗せたままバスが焼打ちされ、市民九人が犠牲になったが、PCCは乗客を降ろした上で焼き打ちした。PCCは用意周到で各グループが責任分担を果たしたのに対し、リオ市では命令系統がバラバラだった。
 暗黒街の長年の歴史では、市民に危害を加えると死の制裁がオキテとなっている。このことから今回のバス焼き打ちの実行犯らは死の制裁が待ち受けているとみられる。PCCでもこれを徹底しており、組織加入の際、宣誓の一条項となっている。