2007年1月11日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】ベネズエラの大統領選挙で再選を果たしたチャベス大統領が就任に先立ち、一部の企業を国有化するとの宣言したのを受けて世界の金融界に不安が広がり、各国の九日の金融市場は混乱に陥った。ここ数日、開発途上国が相次いで政治革新を打ち出して不安材料となっていたが、ベネズエラの動きが追い打ちをかける形となった。また、原油などのコモディティが値下げ傾向を強めていることも市場混乱に拍車をかけている。
チャベス大統領は十二月の大統領選挙で六三%の高い支持のもとに三選(二〇一三年まで)を決めて十日に就任した。それに先立ち、電力会社と電信電話会社の国有化を宣言した。同大統領は南米の風雲児を自負し、反米体勢を強力に前面に打ち出している。今回の国有化の対象となる企業のほとんどに米系資本が入っていることから、さらにあつれきが生じることが懸念され、それが金融界の不安を招いた。
カラカス証券取引所では九日、平均株価指数が一八・七%下落、ドルの平行相場は四〇〇〇ボリバルに達し、公定相場二一五〇ボリバルの倍近くにはね上がった。国有化の対象となる企業の株価は値下がりを続けて二〇%安となり、前面安ストップで取引停止となる有様だった。
サンパウロ証券取引所(BOVESPA)ではさほど大きな動きとはならなかったものの、平均株価指数は前日の四万二八二九ポイントから一・九%下げて四万二〇〇六ポイントとなった。ドル相場は前日よりマイナス〇・〇五%の二・一五〇レアルで終値をつけた。カントリーリスクは一%上げて一九九となった。
混乱はタイとロシアにも波及した。バンコクでは二・七%下落、この背景には政権を把握した軍部が外資の投資規制を敷いたのも要因となっている。モスクワでは六・四%の下落となった。ロシアではヨーロッパ向パイプラインによる原油供給が停止するという不測の悪条件が重なった。