2007年1月10日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十二月二十一日】ブラジル学で造旨の深い作家のジルベルト・M・クジャウスキー氏は、ブラジルを知るために「ブラジルとはスタイルである」ということを前提にすべきだという。ブラジル型生活スタイルや物の言い方、社交術、芸術、宗教性、パーティ、労働方式、政治慣習がある。
ブラジルとはいかなる国か研究するため、経済学者や政治学者、社会学者、歴史学者はまず統計を求め、ブラジル・スタイルを忘れている。昨日まではブラジルを成長度から観察して発展途上国と呼び、今日は新興国と呼んでいる。
経済を観察する角度が違えば、見方は異なるが現実は同一である。芸術面を観察すると、舗装道路や高層建築で覆われたジャングルだ。さらにカオス的交通渋滞や広告媒体の洪水、暴力による動脈硬化、慢性病の汚職が目に写る。
ブラジルという国は植民地時代を基礎として、その上に築かれた。倫理観や人間性の尊厳、地方自治の習慣、民族芸能、文学、彫刻は、ミナス・ジェライス州やバイア州の史跡に見られる。ここにブラジルの内面性が隠されているといえそうだ。
地方自治とは一八二二年まで、ブラジル政治の構成員であった。倫理観や人間の尊厳を内奥に秘め、一八二二年を境に新時代を迎えた。ミナス州が彫刻の都なら、バイア州は文学の都で、植民地時代の片りんが今でも残っている。
ブラジルの時代革新は、過去の精神文化を断ち切ることはない。ブラジル・スタイル創造の秘密はそこにある。ブラジルの近代化に貢献したのは、マヌエル・バンデイラやカルロス・D・アンドラーデ、マリオ・アンドラーデ、ギマランエス・ローザなどで、過去の懐かしき追憶ではない。現代にも生きているブラジル・スタイルであるから、一読をお奨めする。