樹海

 統一選挙の一次投票が終り、13州の知事や上下両院と州議会の議員、更に、大統領と知事選で26日の決選に進む人の顔ぶれが出揃った▼投票当日、写真や候補者の番号入りの「サンチーニョ」と呼ばれるビラが積もり始めた道を、「またか」と思いながら買い物に行った。途中、知り合いが、ブラジルに20年以上住んでいるが帰化していないために投票権を持たない自分にも、「誰に入れた?」と聞いてくる▼投票者の中には、パーキンソン病で車椅子生活だが救急車を頼んで投票しに行った89歳の男性や、102歳で投票しに行った男性のように、投票が義務ではなくなっても行く人達もいる。初めての投票権を行使した娘は、朝8時に投票所に着き、自分より先に着いて列をなしていた人達に続いて投票した後、8時20分に帰って来た▼有権者の中には、投票が義務でなければ行かないという人がいる事も知っている。また、今回の選挙で票を投じた人達が、2年後の地方選挙や4年後の統一選挙の時に前回選挙で誰に入れたかを覚えているか、或いは、前回選挙と同じ人に票を投じるかは別の話だ。「為政者が変わったって汚職はなくならないから、誰に投票しても同じ」と斜めに見る人もいる▼投票しに行く理由も、「あの人に是非当選してもらいたいから」、「あの人には当選して欲しくないから」と様々だろう。だが、軍政から民政への復帰とその後の大統領直接選挙への取り組みなどを思い起こすにつけ、義務であってもなくても、1票を投じる権利を大切にして欲しいと願わされる。おっと、当選した候補者が自らの公約に忠実であるか否かの監視をするのも忘れずに。(み)