9月末現在、自動車工場や販売店の抱える在庫は40万4500台で、同月中に生産された30万800台を10万3700台上回った。業界では過剰在庫と販売不振のため、集団休暇や希望退職といった形での人員整理や生産調整を余儀なくされる見込みだと7日付エスタード紙が報じた。
9月末の在庫数は昨年10月の42万3千台に次ぐもので、過去10カ月では最高。通常なら41日分の販売台数に相当する数の車が工場や店で眠っている事になる。
9月の販売台数は8月比8・7%伸びたが、業界では9月の販売がもっと伸びると期待し、生産を8月比13・7%増やした事もあり、在庫は前月比で4・9%増えた。
今年の自動車産業は、1~9月の累積生産台数が昨年同期比16・8%減の252万6千台、新車販売台数(新規の登録台数)も同9・1%減。輸出にいたっては、昨年同期比で38・5%減という厳しい現状に直面している。
この様な状況下、どうしても避けられないのが生産調整で、今月も集団休暇や希望退職制度を取り入れるメーカーがあるようだ。業界全体の従業員数は9月に1174人減り、14万7700人になった。この数は2012年5月以降で最も少なく、今年の解雇者数は9200人に達した。
一方、全国自動車工業会(Anfavea)では、7~9月の販売台数は第1四半期より3・9%伸びており、年間販売台数も昨年比5・4%減程度まで回復できると見ている。同様に、年間生産台数は昨年比10%減、輸出台数は同29%減程度まで回復する見込みだという。
自動車輸出の減少はアルゼンチンの経済危機の影響が大きい。同国への輸出はブラジル車の輸出の80%を占め、通常なら月額6億ドルに上るが、同国はこの9月、ブラジル車の輸入枠として1億ドルしか認めなかった。
事態を深刻に受け止めたブラジル自動車業界は、コロンビアやメキシコなどへの輸出強化のために販売員などを派遣しているが、具体的な結果が出るには時間がかかる。
業界では、ウルグアイやエクアドルといったラ米諸国のほか、10月に300台の農業機械を購入したジンバブエにも働きかける意向だ。
なお、Anfaveaによると、07年~13年の車の販売は234万台が358万台に増え、人口が増えている内陸部での販売の伸びがより大きいという。人口5千人未満の町での販売は142%伸びたが、300~500万人の町での伸びは29%、1千万人を超えるサンパウロ市では6%の伸びに止まったという。