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堤剛太さん
堤剛太さん

刊行=『汎アマゾニア日伯協会55周年史』=堤元事務局長、渾身の一冊

 「やはり歴史はきちんと残さなければ。アマゾン地域の全ての移住地に関する詳細な移住史をー」。べレン在住の堤剛太さん(66、宮崎県出身)は、いつもの飄々とした語り口を封じ、そう力を込める。
 移民85周年式典でランサメントが行われた『汎アマゾニア日伯協会創立55周年記念誌』の執筆を終えたばかり。昨年同協会の事務局長を退任した後は、東京農工大学の客員教授に就任し、活動の幅を広げている。
 記念誌は日本語で206頁(本文)。同協会は1958年、各地域の67人の代表者で始まり、辻小太郎氏が初代会長を務めた。現在は19団体が傘下に入っている。
 昨年執筆を開始し、発足以来の会報や議事録など残っている資料を全て調べた。「目立つのはいつも会長だが、各々の時代に、たくさんのボランティアの人が協会の活動を支えたことがわかった。その人達の名前をなるべく残したい」。会の生い立ち、年間事業、55年の様々な出来事、寄稿などをまとめた。
 人の名前の羅列や単なる記録ではなく、読み物として皆が読めることも意識した。追ってポ語版も発刊したい考えだ。
 これまで、20年にわたって古い移住者にインタビューした。その大半が亡くなっており、貴重な記録となっている。
 ヴァルガス大統領と直接交渉して家族の移民導入枠を獲得したといわれる故辻小太郎氏に関しても、未亡人を訪ね全ての資料のコピーをとった。「辻さんと元大統領は、サンタレンの当時の支部長が繋いだようです。大統領府からの、会ってもいいという趣旨の電報も残っていた」
 日伯協会記念誌の次に取り掛かるのは、来年設立50周年を迎えるアマゾニア日伯援護協会の記念誌。堤さんの執筆意欲は衰えを知らない。