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商業施設の若者集会が問題に=便乗犯の商店略奪も起きる=サンパウロ州4カ所に禁止の暫定令

ニッケイ新聞 2014年1月15日

インターネットのソーシャルネットワークなどで事前に呼びかけ、大サンパウロ市都市圏のショッピングセンターに大勢の若者が集まり、施設内で騒ぎを起こす集団イタズラ行為、いわゆる「ロレジーニョ」が社会的問題になっている。被害を受けたサンパウロ州内の商業施設4カ所に対し、このロレジーニョを禁止する権利が暫定令で認められたと13日付G1サイトが報じた。この集まりは州内の他市、他州にも広がっていると14日付エスタード紙が報じている。

同紙によれば13日にはフェイスブック上でバウルー、ソロカバなどサンパウロ州内陸部、ブラジリア、リオの商業施設での集まりを予告する投稿が確認された。リオ市レブロン区のショッピングには19日に集まりが予告されており、13日午後8時時点で4千人が参加したいとの意向をサイト上で表明している。

昨年12月にサンパウロ州で起き始めた頃のロレジーニョとは異なり、最近の集まりの目的は抗議行動だという。集会の主催者はサイトに「貧困層、黒人に対する抑圧や差別、ショッピングやプライア、郊外での特に日常的な軍警の粗暴で卑怯な取締りに反発する。サンパウロの同志への支持を表明する」などと書き込んでいる。

サンパウロ市のショッピング・メトロ・イタケーラで11日に起きたロレジーニョでは、1千人の若者が集まって一斉に移動を始めたのに対し、軍警が催涙ガスやゴム弾を使って鎮圧を図った。警官が武器を持っていない未成年に攻撃する様子を撮ったビデオが流れ問題となった。便乗犯と思われる商店略奪も起きており、この事件で3人(一人は16歳の未成年)が窃盗の疑いで身柄を拘束されたが、その日のうちに釈放され、未成年は更正施設(フンダソン・カーザ)に送られた。

この件に関してアルキミンサンパウロ州知事は13日、警官の暴力的介入について調べを進めるとしながらも、商業施設の安全対策は州の責任外だとコメントし、ハダジサンパウロ市長は「例えば、地域のクルーべに照明を設置する。そこに若者が舞台を作り、マニフェストをしたい仲間を呼び寄せるような場所にすればいい。この計画は既に進んでいる」と話し、若者の集会を管理するための市の対策を説明した。

なお、裁判所が出したロレジーニョ禁止暫定令に関しては賛否両論だ。サンパウロのブラジル弁護士会(OAB-SP)のマルティン・デ・アルメイダ人権委員長は、「ショッピングセンターとしては建物保護や、客が安全に買い物をでき、従業員が平静に勤務できる権利を求めただけ。(暫定令は)正しい判断だった」とするが、一方で「特定の集団の入場を認めないことは客層の選別、人種差別だと訴えられる可能性がある」とする弁護士の声もある。