今回ワシントンでIFM・国際通貨基金とWB・世界銀行の共催で開催の年次合同総会(10月10〜12日)の席上、IFMのオリビエ・ブランチャード財務顧問はパラグァイ経済に対し有り得る外的ショックのもっとも好ましい予防ワクチンとして、マクロ経済の基礎的枠組みの強化を勧告した。
これはグローバル財政安定政策報告書の中で述べたもので、アメリカ経済回復の兆候に伴い、予想される金利の正常化によるドル高が及ぼす影響に備えるべく提言したものである。
今年度は2%及び来年度は3%と、それぞれ予想される経済成長率に好感し生起するアメリカ通貨政策の変更は、世界一般経済の関心事で、いかなるドル価格の動きも全てのコモディティの値段の変動に影響する。
特にパラグァイ経済の場合は輸出入貿易への依存度が高く、これがGDP・国内総生産の推移に絶対的な影響がある関係から、国家財政がドル変動には極めて敏感なのである。
この忍び寄る不利な逆風を回避するには、前述の各国際機関の専門家や研究者はアメリカの経済動向に注意を払い、次第によっては有り得る国家経済不振に備えるべく忠言する。
それで、オリビエ・ブランチャード財務顧問はパラグァイに関しては、最もその経済にインパクトを与えるのは原材料、詰まり次産品価格の変動に有ると説明した。
したがってパラグァイの様な国は、経済失速の要因に対する反循環的対策を施し得る施政能力の開発・蓄積が特に大事であるとした。
一方、アメリカに於いて金融利子の増率が生じた場合は、収益性の関係でドル評価資産の国外へのある程度の流出があろう事は疑いないが、肝要なのはそれが整然とした形で推移する事であると指摘した。
この点に関して、ラテンアメリカ経済が強い経済・財政基盤を堅持するならば、投資事業家の信頼が維持出来て、資本の流出も適度に抑えられるだろうと付言した。
よって、良い金融政策、財政措置や機構改造をもって国家経済の基盤強化を図る事が、即ちアメリカが最終的に政策金利の増率を決定し通貨政策を改めた際に生じる打撃に、自信を持って強固に応え得る備えになるのであると強調した。
そして、IFM・国際通貨基金のパラグァイに対する幾つかの経済レシピは次の通りである。
困難な事態下ながらも賢明な財政政策に訴え、経済貧血症の回復、経済成長、潜勢力の活性化及びインフレ率を極く低いレベルに維持すべく努めること。
例えば、繰り返しになるが雇用創出及び経済成長の刺激になる公共インフラ事業への投資増加を積極化すること。
銀行界の金融活動の活発化を図り、経済停滞症状の現状下に拘らず、其の実質的効果の特にユーロ圏等への波及を考慮すべきこと。
なお、IFMはパラグァイの財政収支の浄化現象及び換金流動性の改善は現在では見られないとしている。
他方、最近のIFMリポートはパラグァイの2014年度の経済成長予想率を4・8%から4%へ下方修正した。ただし、これでもパラグァイは地域諸国中第3位の経済好調国だとしている。
同じく、パラグァイ中央銀行も同様の予想修正を既に行っており、その主な原因はイタイプー及びジャシレタ両国際水力発電所のパーフォーマンスの減少や大豆等の国際価格の下落によるものだが、このような修正は今更パラグァイ当局としても余り驚く事ではないと中銀のカルロス・フェルナンデス・ヴァルドヴィノス総裁は語った。