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カンタレイラ=連邦地裁が厳しい判断=〃未開の水域〃の取水禁止=初回開放分来月末までもつか

 サンパウロ州ピラシカバの連邦裁判所が10日、サンパウロ州水道公社(Sabesp)に対し、カンタレイラ水系では第2回目となる〃未開の水域〃の開放を禁じたと11日付伯字紙が報じた。
 〃未開の水域〃は従来は利用できなかった取水口より低い部分の水で、カンタレイラ水系では5月15日に初回開放(取水)が始まった。
 カンタレイラ水系はラ米最大の水源地で、大サンパウロ市圏とサンパウロ州カンピーナス地方の人々への水の供給源だ。同水系の水は減る一方で、14日現在の水位は4・5%。〃未開の水域〃開放開始時の5月15日の水位は、取水口より上の通常の水位8・2%に18・5%を上乗せした26・7%となっていたから、5カ月間で22・2%低下。通常の水位ならマイナス14%という事になる。
 ジェラウド・アウキミン知事は、給水制限を避けるため、〃未開の水域〃の再開放を考えていたが、連邦検察庁とサンパウロ州検察局がカンタレイラ水系の取水量を減らすよう裁判所に訴えた事で、冒頭のような判決が出た。
 連邦地裁の判決は〃未開の水域〃の初回取水分を11月末日までもたせるためのもので、Sabespが11月15日には初回取水分がなくなると主張している分との差は取水量削減などで対応しなければならない。
 Sabespは2004年に毎秒39立方米の取水を認められており、今年1月の平均取水量は29・9立方米だった。だが、水不足のため、7月に取水量が毎秒19・1立方米に制限され、9月からは18・1立方米になるはずだった。
 一方、Sabespが国家水資源庁(ANA)に10日に提出した書類では、現在の毎秒19・7立方米を直ちに19立方米に減らした上、11月~来年4月の取水量は18・5立方米にするとある。ANAとしては〃未開の水域〃の第2期開放を認める意向だが、承認の日時は未定だ。
 連邦地裁は11月末日までは〃未開の水域〃初回開放分でもたせる事と共に、次の乾季が始まる15年4月末時点の貯水量を最低でも通常水位の10%と設定したが、Sabespは同時点の貯水量は通常水位のマイナス5・1%と見ている。
 サンパウロ州内では、サンパウロ市東部などへの水の供給を支援しているアウト・チエテ水系も10・1%まで水位が低下。リオ・クラーロやリオ・グランデ水系は50%以上だが、水運や観光などへの影響は不可避で、生態系への懸念も広がっている。
 深刻な雨不足は水力発電所ダムの水位低下も招いており、南東/中西伯のダムの平均水位は今月末、広域での電力不足を懸念して水の使用制限なども訴えた01年同月末の平均貯水量21・3%を下回る19・9%まで落ち込む見込みだ。

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