連邦地方裁判所(TRF)のファビオ・ピエトロ判事が16日、大サンパウロ市圏への供給確保のため、カンタレイラ水系の〃未開の水域〃(ヴォルーミ・モルト、貯水池の底深くにあり使われずに残っていた水)の2度目の取水を停止する暫定令を撤回したと17日付伯字各紙が報じた。
取水停止の暫定令は、サンパウロ州水道公社(Sabesp)が利用者へ供給する水量を減らさざるを得なくし、市民生活を直撃する内容だった。暫定令撤回は、Sabespとサンパウロ州水資源・エネルギー局(Daee)によって要請されていた。
カンタレイラ水系の貯水量は16日現在、〃未開の水域〃からの初回取水分込みで4・1%に減り、ジェラルド・アルキミン民主社会党(PSDB)州政は、2015年まで供給を続けるために2回目の取水、1060億リットルをあてにせざるをえない状況にいる。
〃未開の水域〃からの2回目の取水を差し止める暫定令は、カンタレイラ水系の早い枯渇を心配する連邦検察庁と州検察局が取水量をへらすようにと要請したことを受けて9日に出された。
今回の暫定令撤回は、取水停止は秩序や健康、治安、経済などの面で市民生活に重大な危機を及ぼすと考えたTRF所長のファビオ・ピエトロ判事によるものだ。
今回の決定により、2回目の〃未開の水域〃からの取水の主導権は、Daeeと国家水資源庁(ANA)に戻った。Sabespはこれらの機関による決定に従う旨を書面で述べた。
アルキミンサンパウロ州知事は16日、「Sabespはアチバイーニャ貯水池で既に、〃未開の水域〃からの2回目の取水分に無断で手をつけている」というANAの見解を否定した。
「400億リットルの水が残っているのにどうして2度目の取水を始めなくてはならないのか。馬鹿げている。それは技術的な問題で、裁判沙汰にされるべき事ではない」と同知事は語った。
ANAは「14日の時点で2回目の取水分の5%が許可無く使われている。この無断利用はアチバイーニャ貯水池の水深計の目盛が初回の取水の下限とされていた777メートルより38センチ低い776・62メートルになっていたことで発覚した」と述べた。
フォーリャ紙によると、ANAの技術者達は15日に再検査のために貯水池に戻ったが、水深計は見つからなかった。このため、検査に赴いた技術者達は初回に認められていた取水より何リットル多く抜かれたかを知る事は不可能だと言う。
フォーリャ紙の調べに対しANAは、技術者によって明らかにされた水深計が無かった事へのコメントを避けた。同件に関してはSabespも返答を避けている。