パラナ州カスカベル市の動物園で虎に噛み付かれ、右腕を切断した少年が、16日に特注の義手をプレゼントされた。
学校の休みを利用してパラナに住む父親を訪問していたヴラジャマニ・フェンナンデス・ロッシャ君が、右腕切断の大ケガをしたのは7月30日。はしゃいだあまり、虎の檻の前の柵の中まで入り込み、走ったり餌をやったりしている内に興奮した虎が右腕に噛み付いたのだ。
病院の医師達はやむを得ず、肩に近いところから右腕を切断。回復を待ち、迎えに来ていた母親と共にサンパウロ市の自宅に戻って来たのは8月7日の事だった。
虎に噛み付かれた部位を中心に、見えない痛みに悩まされたりしていた少年に転機が訪れたのは9月の事。サンパウロ州ソロカバ市のネルソン・ノレ氏が義手を作ってくれる事になったのだ。
継父のルイス・リガモンチ氏と共にネルソン氏の工場を訪れたヴラジャマニ君は、刺青の入った義手もあるのを見て、自分が好きなロックと関連したドクロの絵をと考えたが、家に帰ってから考え直し、虎の絵を描いてもらう事にした。
ヴラジャマニ君の義手に虎の絵を描いてくれたのはソロカバ市在住の刺青師のリカルド・ビビアノ氏で、義手全体に絵を描いてあげると約束。16日にネルソン氏の工場に着いたヴラジャマニ君は、自分のために用意された義手を見て「すごい!」と歓声を挙げた。
ヴラジャマニ君に同行した母親のモニカ・フェルナンデス・サントス氏は、「息子が成長していくためにも義手が与えられた事は嬉しい限り。それに絵も気に入ったわ」と満足げに息子の様子を眺めていた。
ヴラジャマニ君が成長期にあるため、義手は1年半毎に新しい物に交換する必要があるが、ネルソン氏はヴラジャマニ君が20歳になるまで、半年毎のメインテナンスと彼専用の義手を提供する事を約束している。
ネルソン氏は義手や義足を作る事47年のベテランで、ヴラジャマニ君が受け取ったタイプの義手は1万5千~2万レアルかかるが、ヴラジャマニ君の義手はネルソン氏からのプレゼントだ。
ネルソン氏はこれまでも事故や事件で腕や足を失った人々を助けており、同氏の工場で生産する義手や義足といった製品の30%は利用者に無料で提供されている。ヴラジャマニ君が受け取った義手は約1キロだが、彼の心に与えられた喜びや、絵柄が入った義手によって取り去られるはずの偏見は、重さでは量れないほどの意味を持つ。
ヴラジャマニ君は現在も心理面と肉体面の双方でケアを受けているが、歩く事はかなり上達。傷の痛みもなくなった今、母親や継父達は多くの人の支援の思いが込められた新しい義手が、ヴラジャマニ君の生活の質を更に向上させてくれる事を願っている。(16日付G1サイト、17日付フォーリャ紙などより)