W杯期間中、大賑わいを見たサンパウロ市西部のヴィラ・マダレーナは、「閑古鳥が鳴いている」とガルソンが嘆くほど客足が落ちたと19日付フォーリャ紙が報じた。
同地区はオープンテラスのバーや音楽の生演奏が楽しめることで有名だが、最近は客足が激減している。現在の客の入りは6、7月のW杯ブームが来る前の5月と比べても30%から60%減っているという。
街のざわめきや雑踏に肩を並べて演奏されるサンバで賑わっている様子は以前と同じように見えるが、実際に町の中に入って見た状況はまるで違う。以前なら入れる店に行き当たるまで車を走らせる必要があったが、今では生きたい店の前に車が停められるという客もいるほどだ。
水不足も同地域に影響を与えたが、それが唯一の理由ではない。アスピクエウタ通りの「Posto6」の店長、カミーロ・エヴァンド氏は「お客さんが来てくれないんだよね。ビールの蓄えは1万リットルあるんだけど」と肩をすくめる。
ヴィラ・マダレーナに毎週通っていたという女性客も、今ではヴィラ・オリンピカにあるセルタネージョの生演奏があるバーに通っている。ヴィラ・マダレーナに比べて割安で楽しめる。
同地区のバーで4年間客室コーディネータを務めるジャクソン・フェリペ氏は、W杯ブーム後に客層が変化したと言う。
ミュージックチャージが付くようになり、ビールを飲んで、客同士の会話を楽しみに来ていた馴染みの客は姿を消した。
「こうなると思っていたんだよ。W杯なんて大騒ぎ、大混乱になるだけでいいことなんて何もないって。誰も耳を貸さなかったけどね」―。同地区に住んで15年になる英国人のトム・グリーン氏はヴィラ・マダレーナSOSという組織を作った。「昔ここに来ていた人たちはもっと粋だった。今ではここに来るのをためらっちゃうよね」と語った。