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決選投票討論会=個人中傷は抑えられる=政見放送の禁止処分受け=PB問題での新疑惑も浮上=終了後の反応は対照的に

 大統領選の決選投票まで残り1週間となった19日、レコルデ局で第3回目となるジウマ大統領(労働者党・PT)とアエシオ・ネーヴェス氏(民主社会党・PSDB)による討論会が行なわれたが、前回の討論会が白熱しすぎた余波もあり、これまでのような批判合戦は行なわれなかった。19、20日付伯字紙が報じている。

 16日にSBT局で行なわれた第2回目の討論会は激しい議論で話題を呼んだが、「選挙の論点がずれている」との批判も少なくはなかった。
 選挙高等裁判所(TSE)もそのことを憂慮しはじめ、16日の討論会後、TSEは19日までに、ジウマ氏、アエシオ氏の政見放送のビデオ放映をそれぞれ4本ずつ禁じた。ジウマ氏に関してはアエシオ氏の親類の所有地敷地内での飛行場建設問題や飲酒運転検査の拒否問題などについて、アエシオに関してはPTのペトロブラスの贈収賄問題やジウマ氏の兄の縁故採用問題などについての放送が禁止された。
 ただ、個人的な問題での中傷や「うそつきだ」などの言葉は使われなくなったものの、アエシオ氏はジウマ氏に対し、ペトロブラス問題の質問など、相手の弱みに付け込む質問を行なった。アエシオ氏は同問題での資金の流れの鍵を握っているとされているPTの金庫番のジョアン・ヴァッカリ氏に関して、「あなたはまだあの人物を信用しているのか」と尋ねた。
 また、アエシオ氏は、この前日に、「ラヴァ・ジャット作戦」の容疑者であるパウロ・コスタ容疑者が、グレイシ・ホフマン前官房長官が2010年のパラナ州上院議員選挙の際に100万レアルの賄賂を受け取ったと供述したことが明るみになったことについてもジウマ氏に尋ねた。
 これに対しジウマ氏は、「アマゾニアでの飛行場問題やサンパウロ市地下鉄かカルテルなど、カルドーゾ政権の疑惑で調査されていない問題も多い」と返し、さらに16日に報道されたペトロブラスの議会調査委員会(CPI)解散に伴うPSDBのセルジオ・ゲーラ元党首の収賄疑惑について言及した。
 またアエシオ氏は、ジウマ政権での経済低成長についても言及し、景気後退の状況を批判した。これに対しジウマ氏は、「あなたは悲観主義者だ」と言い返し、「失業率が今のように低いのはわが国はじまって以来のことだ」と、自身がキャンペーンで強調しているポイントを繰り返し述べた。
 また「年間インフレ率が上限(6・5%)を超えそうな勢いにあるのに、制御できていると言っている」とのアエシオ氏の批判にジウマ氏は、「あなた方が望んでいるような、制御できてない状況にはなっていない」と答えた。
 討論会の最後には両候補がそれぞれ、締めくくりの言葉を語ったが、ジウマ氏には拍手と野次が同時に飛んだ一方で、アエシオ氏には大きな喝采が沸き起こった。
 今回の討論会では、両者とも有権者を逃さないよう配慮し、相手を攻撃する際もトーンが和らいでいた。