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(7)旧サントス日語校返還=61年後に終わる戦争

2006年12月29日付け

 二〇〇六年はサントスの日系人にとって忘れられない年となった。戦中に接収され、戦後は軍施設として使われてきた旧サントス日本語学校の校舎が、六十三年ぶりに、元の所有者であるサントス日本人会の手に戻されたのだ。
 旧日語校はサントス日本人会により一九二八年ごろに設立。最盛期には二百人以上の生徒が通ったが、四三年七月、時のゼツリオ・ヴァルガス政権により日・独・伊枢軸国民に対するサントス地域からの強制立退き令が出されたことをきっかけにブラジル政府により接収。戦後、日本人会の復活後も歴代会長により返還運動が続けられたが、戻ってくることはなかった。
 〇三年には二十五年間運動に携わった上新・前日本人会長が勇退。後任の遠藤浩会長は二、三世による金星クラブなど地元日系団体と協働して運動を推進した。返還に向けた動きは今年に入って展開を見せ、三月には陸軍が返還を承認、そして八月二十二日、ブラジリアでルーラ大統領が旧校舎の使用権を認める大統領令に署名し、長年の運動が実を結んだ。
 返還文書の署名式は十二月九日、連邦政府国有財産局、企画省の代表などを交え旧校舎で行われた。鍵を受け両手を高々と掲げた遠藤浩日本人会長の姿は、サントスの戦後に一つの区切りがついたことを感じさせた。
 全面返還に向けた運動は今後も続いていく。同日本人会では百周年に向けて同施設を日本文化センターとして整備する計画だ。